このシナリオエモいなぁ……!!(大声)
何かを得るには何かを捨てなきゃって感じがとてもすきでした。
代償はある、それでどんな選択をする?という神々の悪戯とでも言うべき無邪気で邪悪なる所業が最高。
共に死に共に在れという選択で今回は永久ロストへまっしぐらだったけど、溶鉱炉にサムズアップで落ちるくらいのたしかなまんぞくでした!
ほんと今回のエミールくんは、ナタリナちゃんのオーバーリアクション担当になろう!と思ってたんで、平和なところでのやり取りがラノベっぽいコントで最高でしたわ。
ミラクルガールすぐ抱きついてくるし、その度に大声でエミールにリアクションさせまくってた。そんなとこばっかお姉ちゃんなナタリナほんと可愛くて、いつものドジっ子も可愛くて、主人に仇なすものは絶対殺すマンだったのも最高に好きだった。
秘匿HOは重めの設定だったからソワソワしてたけど、前半のコントは平和の象徴だったなあ!
あと一時的発狂を止められない出目は治療には全力だったね草
ナタリナちゃんがLIKE、エミールくんはLOVE寄りのLIKEだったんで、振り回されつつ男になれよォォォォ!ともどかしい青少年はいい……笑
最後の不定で壁ドンのチャンスを得たのにできなかったことが心残りです。あと傷ネタはうまうまです(にっこり)
最後は小話でも書きますわね!という約束を果たしておきます。
何かを忘れている気がした。
薄らと開いた空色の瞳に入ってくるのは、いつもと何一つ変わらない自分の部屋の天井であるはずなのに、そのことにすら違和感を覚えてしまう。
――俺は、何を忘れているのだろうか。
そんな風に考えずにはいられない。今日のエミールの目覚めはいつになく憂いを帯びていた。
だがそんなアンニュイな心持ちを粉砕するが如く、エミールの部屋の扉が大きな音ともに開け放たれる。
「主人! おはようなんだなっ!」
それはいつもの時間通りに姿を現した使用人のナタリナによってもたらされたものだった。
ずんずんとエミールが身体を預けているベッドへと近づくと、まるで約束されていたかのように足をもつれさせて彼女はつんのめり前に向かって倒れていく。
「おわ!」
エミールは半ば奇声に近い声をもらしながら、上半身を起こしてナタリナをすんでのところで受け止めた。
「セーフ……また怪我するところだったろ! 全く……」
「さすがは主人。ナイスキャッチなんだな!」
悪びれる様子もなく、それどころか屈託なく笑うナタリナにエミールは肩をすくめて苦笑するしかない。
――これが日常、そう日常だ。そうだろう?
不穏が呼んでいる気がした。でも、当然そんなことはない。目の前にはいつものように笑うナタリナの姿がある。それだけだ、それで十分だった。
「主人〜! 朝ごはん、食べて欲しいんだな」
ゆっくりと体勢を立て直しながら、ナタリナが笑う。今日もきっととんでもない経緯で出来たおいしい食事が並んでいることだろうと、エミールは手放しでは喜べずとも期待を抱きながらゆっくりとベッドから身体を離した。
「わかった」
一足早く食堂へと去っていくナタリナの背中を、急ぎ身支度を整えたエミールが追いかける。すると唐突にナタリナがぐるりと振り返った。
「そういえば、今日はお客さんが来る予定なんだな」
「……客?」
エミールの表情は怪訝そうに歪む。ナタリナの表情もまた冷たく曇っていた。
「いつものやつ、なんだな」
「ああ、あの人の使いか。律儀だな」
ほんの少し前までのやり取りが嘘のように、二人の会話は冷ややかだ。驚くほどの温度差に、もしも第三者がこの場にいたならば腰が引けてしまうかもしれない。それほどの落差があった。
しかしそれも束の間のこと。すぐにいつもの様子に戻り、朝食の準備が整えられたテーブルへとエミールはつく。食事の後にやって来るだろう客については、憂鬱でしかなかったがこればかりは仕方がない。
色とりどりの食事はきらきらと輝いて見えるが、これらがここに並ぶまでにはあまりにも紆余曲折があったに違いなかった。それがナタリナが毎度起こす、奇跡的な調理法なわけなのだがエミールはいまだに慣れることができない。顛末を聞かされると容赦なくツッコミを入れたくなってしまうし、大きな反応を返さずにはいられなかった。
彼女と二人この屋敷に暮らすようになってそれなりの時間が経過しているが、ナタリナの起こすドジとそれをカバーする奇跡のかずかずには恐れ入るばかりだ。
今日もそんなドジと奇跡の紙一重な話を激しいリアクションと共に聴きながら、それでも美味しい食事を堪能して賑やかかつ楽しい食事の時間をエミールは終えた。
食事を終えてしばらくした頃、普段は滅多に鳴ることがない呼び鈴の音がけたたましく鳴り響く。予定通りの来客を告げる音に、エミールとナタリナの表情は途端に凍りついたように冷たく、そして表情も硬いものへと変わった。
無言のままナタリナが玄関まで向かう。大きく広い、そして装飾の美しい玄関の大きな扉を開くと、燕尾服をきっちりと身につけたまだ着なれているとは言い難い執事見習いとでも言うような青年の姿があった。
「いらっしゃいませ。今回の確認の来られた方ですね?」
ナタリナはエミールに対する時とはまるで違う、冷たく突き放すような口調で青年に声をかける。
「はい、お二人の状況を確認に参りました」
彼女の様子に怯むことなく青年は言葉を返すと、屋敷の奥を確認しようとした。
「どうぞお入りください」
不躾な動作をした青年に見向きもせず、ナタリナは機械的に対応するばかりだ。淡々とした様子で中に入るナタリナに、訪れた青年が続く。
エミールはというと、客間にどっかりと腰を下ろしていて、来客を歓迎すると言うよりは威嚇するといった風だった。
「エミール様、お久しぶりです。いかがお過ごしですか?」
客間に足を踏み入れた青年は、体裁上のご機嫌伺いの言葉を紡ぐ。とは言っても、彼の口調はこの上なく事務的であり感情も何もあったものではなかったが。
「見ての通りだよ、分からないか?」
「……お変わりないようで何よりです」
客間の入り口脇にはナタリナが控えているが、彼女が客たる青年に向ける視線は冷たく、エミールの視線もまた同様だ。
「確認は終わっただろう、長居は必要か?」
「……いいえ」
「では、帰るといい。ナタリナ」
「はい」
「彼をお送りしてくれ」
「はい」
エミールとナタリナの淡々と冷たい対応に気圧されるように、青年は言われるがままになってしまう。そうしなければならないと思わせる何かが、二人には確かにあった。
「こちらへ」
手を引かれているわけではないが、何故か玄関の方へ引っ張られてしまうような感覚とともに、青年は玄関へ向かって歩き出す。しかし、青年の方もされるがままばかりではいられない。
「エミール様!」
「まだ何か用があるのか?」
必死に声を上げる青年に、エミールは声こそ返すが視線は向けないままだ。
「何か、お伝えすることは」
「ないな」
「……かしこまりました。失礼いたします」
青年の抵抗は無駄となり、ナタリナに強引に屋敷から締め出されてしまった。
「主人〜! 疲れたんだな!」
ナタリナの一声で、一瞬にして屋敷に明るい日常が戻ってくる。彼女の声も口調もいつもの通り、独特な物言いへと戻った。
「だなぁ。別にわざわざ様子なんて確認しに来なくてもいいのに」
大きくため息を吐きながら、エミールもまたいつもの様子を取り戻す。
「ボク、今度は玄関だけで用事が済むようにしてみるんだな」
「だめだって。体裁上は俺のことを確認しないと帰れないだろうし、そこまでしたら流石にかわいそうだ」
ナタリナが至極真剣な面持ちでさっきの青年にはさらに酷だろう状況を口にするが、エミールも言葉でこそやんわりと否定しているがその声色も表情も言葉とは乖離していて歪なものだ。
そんなやり取りも空気も露骨なまでに歪な、だが二人にとってはそれだけで十分だという日常。ただこんな毎日が続けばいいと、二人はそれだけを望んでいた。
『大好き』この言葉が、こんなに辛く切ないとは知らなかった。
エミールは自分の身体が毒によって冷たく、そしてその動きを停止させようとしていることを感じながら自身よりも小さなナタリナの身体を必死に抱きしめる。
ずっとずっと、他には何もいらないと思うほどに切望し続けた彼女という存在を、今この胸に抱いていることがまだ信じられない。エミールの大好きという言葉に、ナタリナが同様の言葉を返してくれたことすら驚きでしかなかった。
けれど、それはとてつもなく幸せで。楽しかったあの毎日に匹敵する、もしくはそれ以上の幸福感がエミールを包んでいる。己の命を絶つことを選んだ、その選択を後悔はしていなかったが一つだけ思うところがあった。
――今のナタリナと、今まで通りの生活をしたら何かが変わったのだろうか。
純粋な興味だ。もしかしたらこれはこれで後悔なのかもしれない。だが、やはりこれから命を落とすこの選択に後悔はなかった。
だって最愛の人と、これから永遠にともにあるのだから。
