──ねぇ、知ってる? 吸血鬼のこと。
それは人間にとって隣人であり、同時に得体の知れない存在だ。
基本的に人間に吸血鬼が目立って存在を主張することはない。概ね敵対することもなければ、大半の場合はどこにいるかわかりもしないようなものだ。
それでも最近、昔から語り継がれてきた怪談話の一部には吸血鬼が関わったものが存在しているらしいという話が飛び交い、それ以外でも噂話の話題として頻繁に登場するようになった。
それもこれも吸血鬼の活動そのものが活発になってきているらしいという、根拠があるのかないのかもわからないような話が理由だ。とはいえ、血を吸われたなどという話が飛び出してくる頻度は格段に上がっているため、あながち全てが偽りというわけでもないのだろう。
あれこれと噂を耳にしながら、バイト先で幸幸小雪はどこか落ち着かない様子で周りを見回してきた。
黙っていても聞こえてくる噂話、バイト仲間たちから告げられる話、どれもこれもが吸血鬼のものばかりだ。
小雪は元来、目立ちたがり屋な性分である。
そんな彼女が今まさに目立つものとして認識しているのが、吸血鬼という存在だった。
これだけ噂になって、話題に上る頻度の高いものであるならば小雪としては興味を抱かざるを得ない。
「幸幸さんの近くには吸血鬼っぽい人とかいる?」
問いかけてきたのはバイト先の同僚だ。噂話を好む彼女は、小雪にも多くの噂話をもたらしてくれる。
「まさか。いるわけないじゃないですか!」
小雪は問いかけられた言葉を豪快に笑い飛ばした。この言葉に裏はない。心当たりなど微塵もなく、いっそ清々しいくらいだ。
彼女には弟や妹など家族には事欠かないが、それもまた世間一般から見てもありふれた家族の一つと言って差し支えないだろう。
ここ最近の傾向より多少人数が多いという程度のことでしかない。
それくらい残念なほどに潔く、小雪の身の回りは〝普通〟が満ちていた。目立ちがり屋の彼女が、口惜しく感じてしまうほどには〝普通〟が満ち溢れていて、それはもう退屈を感じさせるほどに。
小雪のそんな正直で、それでいて複雑な想いはバイト先での何の気ない会話によってさらに膨らむことになった。
「なぁ、吸血鬼の噂って聞いたことある?」
そんな風に言葉を紡いだのは小雪だった。
当然独り言などではない。
彼女の隣にはぼさついた髪を揺らして歩く一人の男性の姿があった。
それぞれの右目の下、左目の下にあるほくろが妙に左右対称感を醸し出すが、そこ以外は非対称どころの騒ぎではない。
そもそも彼と並ぶと小雪の決して身長の高くないことがよくわかるほどなのだ。そんなはっきりと、そして歴然とした身長差のある二人ではあるが、小雪はそれを特に気に留める様子もなく、尋ねた言葉に対する返しを待っていた。
男性──橘暁は、小雪の隣を歩きながら少し考えるような仕草を見せる。
「吸血鬼、ねぇ。噂は特に最近、聞くことは多い気がするけど……それがどうかした?」
「やっぱり最近よく聞くよな、吸血鬼の話。けど噂ばっかりで、実在してるのかがはっきりしないだろ?」
そこでだ、と小雪は瞳をきらきらと輝かせながら暁の方へと視線を向けた。
反して暁は呆れを含んだ視線を小雪の方へと向け、次には肩をすくめる。
「小雪ちゃん、また何か思いついちゃった? 今度は何やらかそうとしてる?」
「やらかそうとは何だ!」
不服だ、という様子で小雪は声を荒げてから、じろりと鋭い視線を暁の方へと向けた。
そんな視線を一身に受けながら、暁はひとつ頷いてから口を開く。
「で、その実在しているかも分からない吸血鬼を、小雪はどうしたいわけ?」
「どうもこうも、その吸血鬼やらを見つけ出してとっ捕まえればアタシ、有名になれるよな!」
今度は勢いよく声を弾ませ、前のめりにずいと小雪は暁の方へと詰め寄った。
「ふーん……小雪は吸血鬼を捕まえて有名になりたいんだ……」
詰め寄られた暁は興味があるのかないのか、ただただそう呟いて小雪を見つめる。
この勢いを発揮し出した小雪を止めることは骨の折れることだ。付き合いがそれなりに続いている暁としては、それは火を見るよりも明らかなことであり、加えて止める理由も特にない。
「当たり前だろ! だから暁、一緒に探しにいくぞ!」
暁の何とも言い難い様子など視界には入っていないのだろうか、小雪は先ほどと変わらず瞳をきらきらと輝かせながら、満面の笑みを浮かべていた。
整った顔立ちであるにも関わらず、その表情は魅力的な女性というよりはわがまま放題の大魔王といった様子なのはどうしたものだろう。
しかしそれもまた暁にとってはいつものことだ。彼女のそういった様子は今に始まった話ではなく、その気質に結果として様々なことに巻き込まれる結果となっている暁としては、今更とすら評してしまうことができる。
それが暁と小雪の関わりだった。
相変わらずきらきらと瞳を輝かせたまま返答を今か今かと待ち望んでいる小雪に対して、暁は笑顔と共に言葉を返す。
「小雪ちゃん楽しそうだねぇ、頑張ってその吸血鬼とやらを探しな〜」
ひらひらと手を振って否定でもこう程でもない言葉を返せば、小雪は不服そうに口を尖らせた。
「言っただろ、一緒に! だからな」
この大魔王様は、同行者にもう暁を見定めてしまっているらしい。
またこれもいつものように、だ。
「はいはい、お供しますよ小雪様」
暁がそう返せば小雪は満足げに笑った。
これもまた既定路線の姿であり、こんな形に腰を落ち着けることもまた普段と変わりない。
小雪は何度も満足を示すように頷いてから「吸血鬼を探す旅に出るぞ」と鼻息を荒くした。
「いや、バイトは?」
「あっ……」
いきなりの挫折だ。小雪は頭を抱えて立ち止まってしまう。
どうやら、小雪は見切り発車で吸血鬼探しの旅に出るという閃きについてをそのまま話していたようだ。
暁としてはそんなところだろうとは踏んでいたが、あまりにも鮮やかな有様に思わず吹き出してしまわずにはいられない。
「笑うな」
「小雪、次のバイトいつ?」
「シフトは確か……明後日」
「じゃ、それに間に合うようにするか」
こうして急遽、手軽な旅行の感覚で小雪たっての希望による吸血鬼探しの旅が実施される運びとなった。
世の中というものは時として面妖なものだ。
得体の知れない吸血鬼、なんてものが存在をなんとはなしに主張していたり、その割に噂話ばかりが先行して詳細などというものは雲を掴むよりも遥かに難しいものだったりする。
しかし小雪はそんな状況を悲観するようなこともなく、それどころか己の野望を達成するということのみにしか興味がないようですらあった。
暁が小雪の家を訪れると彼女はすっかり準備万端で、いまかいまかとその時を待ち望んでいる。言ってしまえば楽しみにしていた遠足を待ちきれない子供のような状態だった。
「出発するぞ、暁!」
ような、どころかまるっきり遠足を待ちきれない子供だ。
「あーはいはい」
呆れきったように肩を竦めながら、暁は既に自宅を飛び出して先へ進みたくてうずうずしている様子の小雪に視線を向ける。
いまかいまかと出発を待ち望む姿は、二十歳を迎えた成人女性のものとは到底思えないものだった。
そんなはしゃぎきった様子の小雪のあとを追いかけ、暁は彼女の隣へと並ぶ。
「で、行先は決まってるのかな? 小雪ちゃん」
からかうような言葉と共に悪戯じみた笑みを浮かべる暁に対して、小雪は自信満々に胸を張った。
「同じ轍は踏まない、というやつだ! アタシだって日々成長しているんだからな」
内容も告げぬうちから勝ち誇ったように笑う。もしかしたら、傍から見る分にそれはどうしようもなく荒唐無稽かもしれないのに、だ。
「へぇ、聞かせてもらおうか?」
「もちろん!」
高らかに歌い上げるかのように小雪は言葉を紡ぐ。
「吸血鬼の専門家ってやつがいるらしい」
そんな何とも眉唾物くさい言葉を自信満々に口にしたかと思えば、場所やら何やらの調べはついているらしくもっともらしい言葉が躍り出てきた。
「なるほど……?」
暁はその言葉、その内容にどこまで信憑性があるものかと思考せずにはいられない。
だが、結局のところ小雪の満足のためにも行くしかないということは間違いなかった。
「というわけだ。まずはそこで話を聞くぞ」
当然ながら小雪はそんな暁の様子を考慮することなど一切なく、真っ直ぐに己の調べた道を突き進もうと動き出す。
結果から言えばそうすることが一番だ。彼女の満足はもちろん、提示された内容以外に行動の指針とできそうなところを暁は特に持ち合わせてはいない。
上機嫌に歩き出す小雪を追いかけながら、暁はたまらず苦笑した。
乗り物に揺られ、小雪の調べた〝吸血鬼の専門家〟の居場所へと二人は向かう。
噂の中の存在、現実味のない生き物、そんな吸血鬼の実在を確認しようということが目的なのだが、小雪の様子はまるで宝探しでもしているようだ。
乗り物を降り、しばらく歩いた先に小さな家が一軒あった。
現実離れしたまるで物語の中にでも迷い込んでしまったかのような場所で、孤立した一軒の住宅は小じんまりとしていながらもしっかりとした佇まいをしている。
小雪は逡巡すらすることなく、その建物の方へと歩いた。
当然ながら暁もまたその後ろから続いて歩いていく。
「すみません! 吸血鬼の専門家に話を聞きにきた!」
あまりにも不躾だった。
さすがの大魔王の振る舞いは、暁を小さな焦りを抱かせるが扉は開かない。
「留守かな?」
小雪は首を傾げながら扉の取っ手を握る。
すると、ばきと鈍い音が鳴って取っ手は外れて落ちてしまった。
面倒というのは小雪と一緒に行動している日常茶飯事だ。物事は拗れがちで、シンプルな事象すらも複雑化させてしまう。
だがそれを落ち着いて見守るような余裕は暁にはまだ持てない。せいぜい落ち着いているふりをしながら、小雪の様子をうかがう程度が関の山だ。
この状況にさすがの小雪も表情を引き攣らせる。
状況、具合がよろしくないことは一目瞭然だ。家主がこの場にいないことが不幸中の幸いと思えてくるほどに。
「お前たち、そこで何をしている」
だが、幸運というのはそう簡単にそして確実なものとしては訪れない。
小雪と暁の背後に声の主は立っていた。
「吸血鬼の専門家だな」
この状況では一般的な人間なら出てこないだろう言葉を、小雪は平然と口にする。こういった言動や行動が状況を悪化させることは目に見えて明らかではあったが、暁としてもこの状況を止められる手立ては全くと言って良いほどに思いつかなかった。
そもそも恐らく家主であろう人物から見ると、小雪は家をこじ開けようとしていた悪い人間であり、暁はその仲間と認識されていることは間違いないだろう。
ならば暁が止めに入ったところで、焼け石に水だ。それどころか火に油を注ぐような状況になるかも知れない。
すでに最悪に等しい現状を、さらに地獄や奈落の底へと叩き落とすようなことは、暁としては自分のためにも小雪のためにもしたくなかった。
「帰れ」
「それは困る」
だが、家主と小雪の会話はどうにも状況が好転しそうには思えない。
「うちの家に無理矢理入ろうとしていたやつが何を」
家主の言葉に小雪は自身が外してしまった扉の取っ手を見つめ、流石にばつの悪そうな表情を浮かべた。
「これは不慮の事故だ。吸血鬼の話を少し聞かせて欲しかっただけだからな」
小雪としてはそれは正真正銘、真実でしか無いのだが家主としては開き直りと偽りにしか聞こえないことは想像に難くない。
流石にこれは口の出しどきかと、暁はようやっと口を開いた。
「疑われるのは仕方がないと思うんですけど、話だけでもお願いできませんか?」
見るからに怪訝そうな表情を浮かべながら、それでも暁の言葉を否定したり遮るようなことはしない。
「……少しだけだ。終わったらすぐに帰ってくれ」
家主は人間性自体が悪いわけではない様子で、譲歩の姿勢を示してくる。
「ありがとうございます」
努めて謙虚な姿を見せる暁に対して、小雪は口を挟まないでいた。暁としてはそれは好都合ではあったのだが、何の意図があるのかははかりかねるものだ。
だが小雪は口を開くわけでもなく、家主もいる手前で声をかけることも出来はしなかった。
「で、吸血鬼の話ということだが……何が聞きたいんだ」
そう言った家主は、不遜そうに小雪と暁の方へ交互に視線を向ける。
「吸血鬼は噂を聞くばかりで詳しいことがわからない、そこをまず知りたい。後はどこにいて、何をしていて……」
「待って小雪ちゃん、それは聞き過ぎだから」
一切遠慮を見せることなく要望を口にする小雪に対して、家主の視線は冷たい。
暁は大慌てで小雪に釘をさすが、当人はというとどこ吹く風といった様子で飄々とした表情を浮かべるばかりだ。
家主の方は大きくため息を落としてから、次には肩をがくりと落とし小雪の方を見つめた。それは呆れと諦めの色をはっきりと映しており、どうやら小雪の問いに何かしら答えるつもりはあるらしかった。
「……実在する吸血鬼は、童話やらで出てくるものとは大きく違うことがある」
そんな語り出しから始まった家主曰く、吸血鬼は口の中の牙と血を摂取しなければ最終的には生きていけないということ以外は、人間と変わりがないという。陽にあたろうとも、聖水をかけられようとも、ニンニクや十字架を使用されようとも、人間に対する影響以上のことは発生しないと。
この特性があるが故に、人間の中で生活をしていても余程のことが起こらない限りは判別がつかない。血を手に入れる方法は多岐にわたるため、これを辿ることも難しいというのだ。
「これで満足か」
詳細に小雪の問いに答えた家主は、どこか不満げな表情で吐き捨てた。
これ以上は何かを告げるつもりもないらしい家主から聞くことのできた情報は、結果として吸血鬼というものは人間と遜色ない存在であり、判別も難しいということだ。
つまるところ、何一つ進展したことはない。
強いて言うなれば、わからないということを確認したというのみだった。
しかし小雪の目から見ても、暁の目から見ても、現状これ以上の情報を手に入れる望みは皆無だ。この場にいても家主の怒りを煽り、苛立ちを募らせる以外のことは何もできないだろう。
「迷惑おかけしてすみません、ありがとうございました」
暁が浅く頭を下げ、小雪もそれに倣って頭を下げた。
結果としては騒ぎを起こすばかりにとどまってしまったが、それでもとりつく島もないというほどの拒絶の対応を取られなかったことは、小雪と暁としては良かったところだ。
この場を離れながら、小雪は暁に囁く。
「思ったより、何もわからなかったな」
暁は思わず苦笑した。
二人は見知らぬ街を歩く。
もちろんその目的は観光などではない。
暁は手元で端末を確認しながら、小雪もまたその様子を確認しながら歩いている。
目的は拠点となる宿探しだ。
安価である程度の機密性があり、そして二人が別々の隣り合った部屋で夜を過ごせること。
最後の点については暁が頑として譲らなかった。
小雪はその点は取り立てて気にもしていない様子で、暁がそこまでこだわる理由がわからないというところではあったが、彼がこだわることを否定する理由もまたない。
そんなこんなで現状の先にあげた条件を元に宿探しを進めているというわけだった。
「そんなに難しい条件でもなさそうだがな」
吐き捨てるようにして小雪は言う。
そんな彼女に暁は苦笑してから「施設そのものが少ないみたいだよ」と言葉を返した。
実際二人の歩いているのは、いわゆる辺鄙と評するにふさわしい場所であり、宿そのものが少ないことは歴然としている。そもそも建物自体が少ないのだから当然と言えば当然だった。
幾らかの検索と電話を経て、やっとの思いで見つけたのは小さな宿だ。
要望は全て叶えられてこそいるのだが、何せ部屋が小さい。そして壁も薄く耳をそば立てれば隣の部屋の生活音の大半は筒抜けだろうことに気がついたのは、部屋に通されてからだった。
暁はあからさまに表情を曇らせてはいたが、背に腹は変えられないという気持ちもあるのか、不服は口にせず「小雪ちゃんはそっちね」とだけ声をかけて隣の部屋へ引っ込んだ。
小雪としてはそんな暁の様子がどうにも不可思議に思えて、荷物を置くなり隣の部屋に耳と意識を向ける。
直感的に何かがある、そう感じさせるには十分すぎる状況だったからだ。
小雪が耳を澄ましてみると、隣の暁の部屋からはがさがさと音が聞こえてくる。おそらく鞄の中身を出すか整理するか、そういった音なのだろうことは想像に難くない音だったが、そんな急いで自分自身の荷物を改める理由がよくわからなかった。
喉でも乾いていたのだろうか、そんなことを考えながら相変わらず小雪は隣の部屋へ耳をそばだてる。するとまるで示し合わせでもしたかのように喉の鳴る音が耳に届いた。
「……なんだ?」
小雪は思わず首を傾げるが、壁越しで音しか聞こえない以上は確認のしようがない。
これは何の確証もない小雪の直感が告げるものでしかないが、暁の行動をきちんと見ておかなくてはならないとそう感じていた。
少しの間、小雪は思考する。
だが悩むだけでは何も変わりはしないと思考する方向を変えた。
その場に立ち上がると、一才の躊躇なく小雪は隣の部屋をノックもせずに開け放つ。鍵もない部屋の扉はすんなりと開け放たれ、奥には当然ながら暁の姿があった。
しかし、一つだけ小雪が想像していなかった状況がある。
それは暁の手に握られたもの──半分ほど中身の減った輸血パックだった。
反射的に小雪の体と表情がこわばる。
「お前……それ……」
思わず口を開いた小雪に、暁は困ったように苦笑した。それはいつもの様子と変わらないものに思える。
ただ、暁の手に握られている輸血パックだけが違和感を発していた。
「……そっか、見つかっちゃったか」
やはり苦笑しながら暁はつぶやく。その様子からは諦観が強く強く伝わってきた。
「吸血鬼……なのか……?」
「そ、小雪ちゃんの探してた吸血鬼」
「なん、で……」
呆然としつつも問いかける小雪に、暁はごめんねと言ってやはり苦笑する。
小雪からすると青天の霹靂とでも言うべき状況だ。
自分の探していた吸血鬼が暁だなんて、想像すらしていなかった。
しかし考えてみると人間の中に紛れて、牙と血を飲むこと以外は何も変わらない人間の中に入り込んでいる吸血鬼が、暁ではないということはどこにも担保されていなかった。
小雪がただ、暁がそうであるはずがないと高を括っていたにすぎない。
かくして予想外に小雪は吸血鬼に行き合うことになった。
家族の次に身近な存在の正体を明かす形で。