非日常からの帰還(tnzn)

「あっ……炭治郎、おかえり」
 炭治郎の部屋の前で廊下に腰を下ろした善逸が、眠気を帯びた柔らかな声で迎える。
 日没からはどれくらい時を刻んだだろうか。外には明かりひとつもうないような時間にもかかわらず、善逸は炭治郎の帰りを待ち続けていたようだった。
「ただいま。善逸、無理しなくてよかったんだぞ?」
 しゃがみこんで目線を合わせながら、そう言って炭治郎は善逸の美しい金の髪をひとなでする。くすぐったそうにまぶたを閉じて、善逸は破顔した。
「俺が待ってたかったんだよ」
 返された言葉に、たまらず炭治郎は善逸に顔を寄せ頬ずりする。大切な人が迎えてくれる日常をしかと胸に刻みつけながら、いつもよりも無防備な年相応とも言える表情で笑った。