金色の夢(tnzn)

 どうしても見て見たいものがある。
 それは、生まれてこのかたずっと夢に見てきた一人の人物の姿だ。物心ついた頃から、その人物は夢枕に幾度となく立ち、ときに情けなく、ときに恥を晒し、ときに慈しみ、ときに照れくさそうに愛をくれる、そんな存在だった。
 姿形は全く覚えていないのに、目の奥にはいつも眩く輝くような金色が瞬いて離れない。そして寝ているはずなのに、少しの甘さと凛とした香りが鼻の奥にいつも残っていた。
 ――あれは誰なんだろう。
 いつも炭治郎は、目を覚すたびに朧げな夢の余韻に浸りながら考える。
 あまりにも覚えていることが少ない、この夢の中の金色の人物にいつか会いたい。そう考え始めるのはあまりにも自然なものだった。