花冷え 転生ネタ

転生後の現パロでは、オスカーだけが記憶を持ってるから余計にと言ったら変だけどただでさえミオくんにベタ甘なのにさらにベタ甘になってるとこあるのよね。
花冷え本編の一週間とかそれ以外のミオくんとの記憶を思いながら、あの頃は誰かに触れることに忌避感があったろうこととか他にもたくさんいえなかったこともあったんだよなとは詳しくまでは聞いてないから察せなくとも、なんとなく思うところがある。
今は一度伸ばした手を引っ込めてしまうようなこともないし、自分に控えめでも甘えてきてくれるミオくんに嬉しかったり、幸せだったりしてるね。
今度は悲しい顔や寂しそうな顔は絶対して欲しくないから、最高にベタ甘。気質的にも甘やかしたい性分だから余計に笑

花冷え本編のオスカーは一週間ごとに記憶がリセットされて、前のことは覚えてないって感じなわけだけど……かつてはそうだった自分が今ではきちんと記憶を持ってることを少なからず滑稽だなとオスカー自身は思ってる。
前もどっかで書いたような気もするけど、オスカーは記憶が戻ってすぐは一週間が過ぎることを怖いと思っているし、覚えてることを確認してはホッとしてるのはあるけど。
今度は忘れたくない。全部覚えて、ミオくんと関わりたかったから。あのときはこうだったね、前はこんなことがあったねって言いたいんだよね。
だから怖くて怖くてたまらない。
十八になったときも怖かったと思う。こっちは記憶が無くなるかもってことではなくて、漠然と前の自分はこの年齢の頃に死んだんだ、ってことを思っての怖さ。
死が妙に近く感じて、ゾワッてしてる感じだろうなって。
それを越えた先でミオくんと一緒に生きてるのが今はとても幸せで、愛しくなる感じ。
知ってたけど、ほんとミオくんのこと大好きなんだよなぁ……☺️

小話書いた!

『誕生日おめでとう、君は今日で十八歳になったね』
オスカーは誕生日の前日、急にそんな言葉を思い出していた。
その言葉は今のオスカーが実際に耳にしたものではない。
彼の中に残る別の人生を生きた、かつての自分へ向けられたものだ。
オスカーの表情が小さく歪む。
何故ならその言葉は、祝福と同時にかつての自分の死を意味していたからだ。今の自分自身のことではないと言っても、それは確かにかつての自分自身の経験である。
知らないとは断じきれないところもあり、それがオスカーの感情を複雑なものにさせていた。
オスカーは今、十七歳だ。そして明日の誕生日を迎えれば十八歳。かつての自分を追い越していくことになる。
なんとも形容し難い気持ちがそこにはあり、どうしてもオスカーの表情は晴れやかとは言えない。
そこにあるの漠然とした不安と恐怖だ。
かつての自分がしたことについて、今のオスカーとしても納得することは出来る。理解もできるし、場合によれば自身だってやりかねない。
だからこそ、どうしようもなく怖くなる。分かってしまうからこそ、自分がその選択を今しないなんてどうして言い切れようか。
どうしてもそんなふうに感じてしまう。
しとしととした雨が続きがちな頃が誕生日であることも重なって、どうしても心持ちは沈みがちだ。
これまでは意識して考えないようにしていた。考えたところできりのないことだったからだ。
それでもどうしても意識せずにはいられない。
かつての自分もまた同じ日に生まれ、そして同じ日に死んでいったという事実を意識しない方が嘘という話だろう。
ぼんやりとベッドに身体を横たえながら、オスカーは天井を見つめた。何を見るわけでもない、ただぼんやり見上げるのみだ。
十六歳の春、ミオと出会ったのはやはり運命だったと今でも思う。
彼と偶然に再会をしたことにより、オスカーの中でかつての記憶が蘇った。一週間ごとに記憶を失い続けていた自分自身のことを。ミオのことを愛しく感じ、綺麗と感じたあの日のことを。そして、その気持ちが故に自死を選んだことを。
それは苦しく、辛い記憶でもある。だが同時にオスカーにとっての宝物でもあった。
どんなにかつての記憶が今の自分を振り回したとしても、それは瑣末なことだ。ミオと再び出会えて、やはり綺麗だと思えたのだから。
かつての自分は、ミオがいない世界では生きていけないと死を選んだ。その言葉は裏を返せば、ミオのためなら世界を生き続けることが出来るということだ。
悲観することなどない。今はミオが居てくれるのだから。

時計の針が零時を示す。日付が変わり、オスカーの生まれた日が訪れた。
端末にはいくらかの通知の表示がともる。メッセージの着信を告げるものばかりだ。
オスカーはおもむろに端末を手に取り、メッセージの一覧を眺める。誰よりも最初に彼に祝福の言葉を送ってきていたのは、他ならぬミオだった。
オスカーの鮮やかな青の瞳が大きく開かれる。その瞳には星が瞬くような輝きがあった。
メッセージを開けば簡素ではあるが誕生日を祝う言葉が連ねられている。メッセージをこの時間に送るべく、寝ぼけまなこを擦りながら待っているミオの姿がオスカーには容易に想像出来た。
自然とオスカーの口元に笑みが浮かぶ。もうそこに不安も何もない。

──オレはオレでここにいる、キミとここにいる。

大丈夫、いつも通りだ。
そんなふうに思ってしまうあたり、気にしすぎている節はあまりにある。それでもオスカーは務めて冷静に日常を今日も始めるのだ。
いつものように家族と笑顔で他愛もない会話を交わし、微笑ましい中に朝食を終え、支度をすっかり整えれば見送られながら家を出る。
学校へ行く前に向かうのはもちろんミオの家だ。
もうすっかり当たり前になった日課。ミオを朝迎えに行き、眠そうにする彼を連れて一緒に登校する。
こんな毎日は、オスカーにとって幸せな日々だ。そして美しい時間で、輝ける記憶だった。
今日もミオの自宅のインターホンを鳴らせば、慌てた音と少しの騒々しさの後にミオが姿を現す。
「おはよう、ミオ」
オスカーはいつものように笑顔を向けた。
「おはよぉ、オスカー」
ミオがそれに応える。普段通りの朝──のはずだった。
「誕生日おめでとう」
そう告げたミオの瞳からは大粒の涙がこぼれて落ちる。
本人も心あたるところが無い様子で慌てふためいているが、ミオの瞳からは次から次へと涙が溢れて止まらない。
「あれ? えっと……」
ありありと見て取れる困惑をミオは持て余し続けている。ついてこない感情に振り回されるばかりだ。
その様子にオスカーはふと思う。
──〝ミオ〟が、泣いているんだ。
かつての花に呪われたミオが、今のオスカーに対して流しているのがこの涙なのだろう。それは確信なんてものはない、ただ直感的に思うものでしかない。
けれど確かにそうだと、オスカーは感じたのだ。
オスカーはミオに微笑みかけながら、そっと涙をぬぐう。
「……ありがとう」
自身が十八という歳を越えていくことに涙してくれるミオが、どうしようもないほどに愛おしかった。
慈しむような指先が、何度もミオの涙をぬぐい頬を撫でる。
「えっと……えっと……」
相変わらず混乱の最中にいるミオは、言葉を紡ぐことも出来ぬまま涙を流し続けていた。
「大丈夫、きっともうすぐ止まるよ」
オスカーは微笑む。自分は幸せ者だ、そう思いながら。