微睡に口付け

立っているのがやっと、そんな状態のオスカーの身体がぐらりと揺れた。
ミオは握っていたオスカーの手を強く握り直す。
脳裏には得体の知れない女性の「おとぎ話では愛する人へ口付ける、というものがあるのでしょう? それです」という言葉が響いていた。
普段はあまりミオからオスカーへ口付けることはない。そうしたいな、と思うときにはオスカーが口付けを落とすというのが正しいかもしれないのだが。
それにしたところで、いつもとは違う状況はミオのなかに緊張を生んでいることだけは確かだった。
かくん、と小さくオスカーの頭が少しだけ下がる。
慌ててミオは目の前のオスカーに顔を寄せると、そのまま流れるように柔らかく口付けた。
触れた場所があたたかい。伝わる体温が、それとはまた違う熱が、二人を包んだ。
次第にオスカーの姿勢が安定し、ミオの手をしっかりと握り返す。閉ざされていた瞼が開かれ、少しの不安を滲ませるミオの視線とオスカーの視線が交差した。
自然と伝わる〝大丈夫〟に二人は同時に目を細める。
そして再びまぶたを閉じた。
己の意思で。