ぼんやりとただ空を見上げている。
空はこんなに青かったのだったか、などと彼は薄ぼんやりと考えを巡らせた。
彼の青空によく映える金髪はきらきらと輝いていたが、青年の表情は暗い。生気のないべっ甲のような色をした瞳は虚ろで、少し痩けた頬と血色の悪い肌の色が絶望を感じさせた。
「これじゃ、生きてるんだか死んでるんだか──」
ぼそりとつぶやく声は掠れ、口元には自嘲の笑みが浮かぶ。
「もう、いいか」
こんな快晴の空を見上げ、地面に落ちていくのも悪くないかもしれない。
そんな思いを彼は胸に抱きながら手すりを乗り越え、冷たい灰色の建物の端へと立つ。風が青年を煽って吹き抜けた。
この風に乗って空を飛べたなら。
出来もしないことを空想しながら、建物の端のその先へ足を踏み出そうとしたときだ。
「だめえええええっ!」
下の方から声がする。覗き込んでみればまだ年端もいかない少年が必死に声を張っていた。その目は赫く強い意志に満ちていて、青年の心を震わせる。
不思議と強い気持ちが湧いてきて、生き汚い部分が顔を覗かせた。
諦める前にもうひと足掻き、してみようか──そうでなけりゃ、きっとあの子に怒られるぞ。
