青い空に眩しい日差し、今日も快晴だ。しかし、善逸の心は落ち着かない。
ここしばらく音信不通となっている炭治郎のことを思うと、塞ぎこまずにはいられなかった。任務が長期に及ぶことは珍しくない、しかし鎹鴉も戻らず何一つ現状が分からないことは稀であった。
今日も鴉が戻ってくる。見慣れてしまった風景に、善逸は大きくため息をついた。
善逸の脳裏には、任務へ向かう直前の炭治郎の様子が思い起こされる。
いつも通りに笑って、いつものように任務へ赴いたのだ。何も変わらなかった、それなのにどうしてこんな……と思わずにはいられない。
「なぁ、炭治郎……」
空へ向かって呼びかける。しかし、それも虚しくて切なくなって口を噤んだ。
『会いたい』
その一言を飲み込んで。
――カラリ、カラリと音がする。
乾いた音は小さく、しかし善逸の耳には確かに届く。それはよく知る音だった。
善逸は弾かれたようにその場を離れ、一目散に音のするほうを目がけて走る。
(あの音を知っている!)
必死に必死に、ひた走る。
(あの音を聴き間違えるはずがない!)
ただひたすらに、ひた走る。
(ああ、やっと――!)
屋敷の入口へとたどり着くと、門をゆっくりしかし確かな足取りでくぐる人影があった。
カラリ、カラリと花札のような耳飾りが揺れて、乾いた音が鳴る。
その姿を認めるなり善逸の目に涙が浮かんだ。
「炭治郎! おかえり!」
