ときどき夢を見る。
ただ必死に生きていたあの頃の夢だ。
仲間だと思っている誰かが気がつくと消えている。
次は自分かもしれない。
怖いと震えることしかできず、確固たる自分を持つこともままならなかった。
ただ求められるがままに力を振るい、自分はこうすることでしか生きられないと刻みつけられる。
怯えて、恐れて、強いストレスを覚え続けた。曖昧な記憶と自己が更なるネガティブな感情を呼び起こし、ストレスもさらに大きなものとなって襲いかかり続ける。
──全て壊してしまえばいい。
それは自分の奥にある自分ではないものから誘惑。一度受けいれてしまえば止まれなくなるのではないかと思う何か。
レネゲイドの囁きだった。
けれど、それを必死に遠ざける。
きっとこの誘惑に乗れば今抱えるものからは開放されるのだろう、と思うのだ。だが、そうしてはいけないとも思う。
いつも憧れで、親友である嚆矢の背中が眩しく思い出されて、あんな風に在りたいと願うから。
自分が正しいと思うことを、胸を張って貫けるようになりたいと目指すからこそ、必死に誘惑を跳ね除けて耐えた。
そんな頃の夢は一筋の光以外は、酷く無機質で色がない。
幼い頃にはそんなこと、考えたこともなかった。色を知らなかったからだろうと、今にしてみれば思う。
ただ眩しい光だけを追いかける、他の場所は自分にとっては暗闇だった。当然といえば当然だ。
そこまで思考して、吹雪は少し大きめの息を吐く。
久しぶりの夢見につい意識が引きずられてしまう、そんな感覚だった。
こんなときはいつだって億劫さが先に立つ。だがそれもほんの一瞬のことだ。
隣から視線を感じる。その視線はあたたかく吹雪の様子を見つめているのが、彼自身にもはっきりと伝わるもので同時にこの上なく愛しいものだ。
そちらへと吹雪が視線を向けてみれば、向けられていた視線の元には当然ながら緋奈乃がいて、ぶつかった視線に気づいて微笑む。
その笑顔に吹雪の表情も自然と柔らかなものへと変わった。
言葉はない。しかしそこには確かに交わされた思いがあり、気持ちがある。
あの人は違う、これが今の吹雪の日常だ。当たり前ではないはずだったものが、当たり前になった。
それこそ愛しく大切な色鮮やかな瞬間だ。
守りたいと願うものがここにあった。
