因習と理

 この世界は因習で満ちている。それをはじめて実感したのはいつだったか、今となってはもうわからない。

日々は同じようで少しだけ違う出来事の積み重ねで、変化を求めすぎたら淘汰されたり、何もしなさすぎたら変化のないぬるま湯に囚われて飼い殺されたりする。
もちろん、そうではない世界もたくさんあるのだろうが、自身が身を置くそれらをあまり好意的に見ることは出来ずにいた。
彼は思考する。
神に願えば、神にすがれば、何かが変わるならどれだけよかっただろう、と。実際は願っても祈ってもすがっても、何一つ変わりはしない。変わったとするならば、望むということを形にしたかしていないか、その程度のものだ。

記憶を食べられる。

――あれ、何をしようと思ったんだっけ。
はじまりはそんなありふれたものだった。