嘘のつけようはずもなし(tnzn)

 炭治郎の鼻をくすぐる匂いは、どこまでも甘く酔ってしまいそうなほど強く強く彼の理性を揺さぶる。匂いの主は言わずもがな、炭治郎の目の前に立つ善逸だ。
 恥じらうように目を逸らし、これ以上は近寄るなと言わんばかりに手を前に出し炭治郎を制する様子を見せる。しかし炭治郎の鼻はごまかせない。
 善逸から確かに甘く、好意とそして期待の入り交じった匂いが漂う。
「善逸」
「だから、そういうのじゃな……」
「善逸!」
 言い訳をまくし立てる彼の名を呼びかけ続けると、その声がぴたりと止んで最後には勘弁した様子でへにゃりと笑った。