喧嘩から生まれた宝石(tnzn)

 あれはいつの頃の話だったか。付き合い始めて間もない頃だったかもしれないし、同棲を始めた頃かもしれない。
 なんにせよ、なんらかの変化があった頃に両手の指で数えて余るほどの回数しかしたことのない喧嘩をした。
 それもなんと他愛のないことか、醜い醜い嫉妬と独占欲が焼けて爛れた結果だ。
「やっぱり俺なんかと居ない方がいいんだろ!」
 この俺の言葉で空気が激変したのは、忘れようとしたって忘れられるものではない。
「そんなことを軽々しく口にするな! 俺の世界一大切な人を罵るならそれが善逸だとしても許さないからな!」
 こいつにしては珍しい感情に任せた言葉に。、。俺は返す言葉が見つけられなかった。こんなにも矛盾しているのに、こんなにも愛情に溢れた言葉を聞いたのは初めてで。
 とても嬉しかったんだ。
「……俺が悪かったよ、ごめん。炭治郎」
 そのとき、わかってくれればいいんだとそう言って泣き笑う炭治郎の表情は、世界で一番美しくそして格好良いものだったことも、多分一生忘れない。