反響の想い(tnzn)

 音が響く。それは善逸のよく知るもので誰よりも優しく、涙の溢れそうになる、心の底から嘘偽りなく好きだと言えるもの。
 音の主は振り返る。赤みがかった黒髪に、折り目正しくもはっきりと意思を宿した紅の瞳は、真っ直ぐに善逸を射抜く。
「どうかしたのか?」
 どうにも不思議と言わんばかりに首を捻り、疑問の言葉をなげかけながら思考を巡らせているのだろう。視線がすぐに善逸から外れて、斜め上を向いた。
「どうもしないよ」
 善逸は楽しそうに声を弾ませて笑う。その様子にまた首を傾げられてしまったが、善逸はそれを気に止めている様子もない。
 にこにこと笑う善逸の耳には、彼の音が響いている。