今更だけど大事なこと(スレミク)

 背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見る。眼下に広がるのは青く澄んだ空に岩壁と山肌、そして青々と生い茂る緑の樹々だ。
「ミクリオ」
「なんだい、スレイ」
 加護によって守られた澄んだ空気を吸い込んで、スレイは小さく幼馴染みの名を呼ぶ。ミクリオはスレイの呼び声に答えつつ、彼の次の言葉が発せられるのを隣に立って静かに待っていた。
「これからも俺と一緒にいてくれるか?」
「……何を今更、僕は君といることを選んだんだ。君が拒んだって一緒にいるよ」
「うん、ありがとう」
 寂しげな様子でおずおずと問いかけたスレイの言葉を、ミクリオは力強く肯定して隣に立つ彼に笑いかける。
 ミクリオの様子と言葉に、スレイは感謝を述べて破顔した。そのままミクリオを抱きしめると、大好きだよと耳元で囁く。
「……っ。君はそういう恥ずかしいことを平気で……!」
「だって今、周りに誰もいないしな」
「そういう事じゃない!」
 頬を真っ赤に染めながらスレイの腕の名でもがきつつミクリオは、精一杯の抵抗を試みるがそれこそ無駄と言うやつだ。
 照れを隠そうと声を荒らげても、相変わらず真っ赤な頬にスレイは笑って、その頬に軽く口づけた。