キミに「おはよう」

おはよう、と言葉を交わす朝。
いつものように微睡むキミに、オレは幸せな気持ちになる。
安心しきった少し緩んだキミの表情が、一緒にいられるという実感を改めて感じさせてくれるから。
声をかけても意識が浮上しきらずに、もう一度眠りに落ちて行こうとするそんなキミはいつも通りでいつかのキミとも一緒で、嬉しくもなってしまう。
けれど、こんな時間も好きだけど、キミと言葉を交わすのはもっと好きだから。
だからそのうちに、微睡みながらうつらうつらとしているその瞳をこちらに向けて欲しくなるんだ。
それでも無理矢理に起こしてしまうことはどうにも憚られて。
不意に伸ばしてしまった手は、そのままキミの髪を何度も撫でている。
こういうときのキミは大体、オレの近くに寄ってきて気持ちよさそうにしているよね。
だからやっぱり思うんだ。
幸せだなぁ、って。

薄らと開かれたミオの空のような色をした瞳が、オスカーの姿を捉える。
オスカーは柔らかな笑みを浮かべて、ミオの髪を撫で続けていた。
撫でる手つきは繊細で柔らかくまるで宝物を愛でるかのようなもので、同時にオスカーがミオに向ける視線もまた穏やかに彼を慈しむものだ。
それらはミオにとって幸せと、照れ臭さと、くすぐったいような感覚を与えた。
「ごめんね、起こしちゃった」
そう言うオスカーの表情は相変わらずだ。
「ううん……」
なんとか言葉を返すミオは未だ微睡みの中なのは見るからに明らかで、オスカーはその様に改めて微笑む。
「もう一度寝る?」
そんな声すら穏やかに暖かく響いた。
ミオの意識は現実と夢の境目でオスカーの声を聞いている。
ああ、幸せだ。そんなことを思いながら。
いつもの通りに、これまでと変わりなく、当たり前に続いている日常でもある。彼らの日常は穏やかで柔らかく甘い。
それはまるで綿菓子のようだった。