カミナリは、お好き?(tnzn)

 空が光り、ずどん、と轟音がが鳴り響く。程なくして空を真っ二つに両断してしまいそうなくらい、大きな稲光が走った。
「ひぃ……っ」
 耳を塞いで小さく怯える声を漏らしながら、善逸は全身を小刻みに震えさせている。その様子は雷への恐怖心をありありと感じさせた。
 部屋の中、川の字にひかれた布団の上で縮み上がる善逸は、いつもよりも小さく見える。早々に大きないびきと共に、夢の世界へと浸っている伊之助とは真逆とも言える様子だ。そんな二人に挟まれ真ん中の布団で寝支度を整えていた炭治郎は、善逸の方へと視線を寄越して匂いなくしても伝わる彼の様子になにか出来ないものかと思案していた。
「善逸」
「な、なんだよぉ」
 肩を大きく震わせながら弾かれたように炭治郎の方を向く善逸は、目を丸く剥いて相変わらず耳を塞いでいたが呼び声はハッキリと彼に届いているらしい。
「怖いんだったら、一緒に寝るか?」
 炭治郎は自身の近くをぽんと叩きながら、表情をゆるめた。
「うぇぇ!? ちょ、お前……何言ってんの、何言っちゃってんの」
 驚きに目を見開きながら早口に捲したてるが、その頬は心なしか紅く染まり視線を下に落としている。炭治郎の鼻には恥ずかしいと感じているその感情が、たしかに届いていた。
「伊之助はもう寝ているし、今なら大丈夫だぞ」
「匂いで察するのやめて!」
「善逸も音で分かるだろう?」
「そういう話じゃな……! ひぃ!」
 反論を口にしようとした善逸を遮ったのは、轟く雷鳴だ。無意識に炭治郎の方へとしがみつき震える善逸は、やはり震えている。
 しがみつく善逸を宥めるように背中を撫でながら、炭治郎は「大丈夫、大丈夫」と繰り返した。
「……やっぱり、一緒に寝てもいいか?」
 善逸はしがみついたまま炭治郎のことを上目遣いで見つめ、控えめに告げる。その言葉ににこりとして頷きながら、炭治郎は布団の中に潜り込み身体を寄せた。空けられた場所におずおずと善逸は身体を滑り込ませて、二人でひとつの布団に身体を収める。
 まだまだ雷鳴は鳴り響いているが善逸の震えはいつの間にか、なりを潜めていた。