もしもあめがつづくなら(45)

「な。そーちゃんは、雨がやまなくなったら……どう思う?」
 環の言葉は唐突だった。外は快晴、雲ひとつない空を見上げると爽快さを感じるほどだ。
 しかし環が壮五に対し、口にしたのは雨の疑問。
 どうしてこの質問を口にするに至ったのかという想いと、それと同時にとても環らしく感じられる気持ちに挟まれ、壮五は首を傾げずにはいられない。
「それは、色々と困ることがあるんじゃないかな?」
「そーちゃんは、どう思う?」
 一般論を口にする壮五に対して、先程の同様の言葉を環は一層強調しながらもう一度尋ねた。
「……僕は、か。そうだな……」
 壮五は改めて問いかけられる言葉に、思案している様子で手を口元に当てる。対する環は返されるだろう言葉を今か今かと待っていた。
「ずっとやまないのは困るけれど……たまにある長雨なら僕は嫌いじゃないよ」
 思案を重ねて紡いだ言葉はまっすぐに環へと届く。にこりと柔らかな表情は、この上なく穏やかで落ち着きのあるこの瞬間は、今までに幾度か発生してきた彼らの問題など全く感じさせないものだ。
「だよな。俺も、ずっとはやだ」
 壮五の表情に応じて環もまた穏やかな表情をうかべる。嬉しそうな、それでいて知っていたと言わんばかりのその顔は、何故か壮五をどきりとさせた。
「環くん」
 たまらず目の前の相棒の名前を呼ぶ。
「そーちゃん? どうか、した?」
 名前を呼ばれ、いつもとは少し違う壮五の姿に環は目を瞬かせた。
「……ううん、どうもしないよ。環くんと同じことを感じられて嬉しいんだ」
「ふぅん? へんなそーちゃん」
 偽りはないが誤魔化すようでもある壮五の言葉に、環は再び目を瞬かせる。だが、何かを感じとったらしく次には嬉しそうに笑った。
 揃いのことを喜ぶ子供のように、無邪気に笑う様子は壮五の言葉を、気持ちを少なからず環に届けていることを確かに伝える。
 何のことはない。ありふれた会話、そこに満ちた共通の気持ちはこの上なく嬉しいものだった。