あきらよHO2戦闘描写

──守りたい。
それははじめから、今に至るまで変わることない想いだ。
これまでは漠然とその想いを胸に抱いて生きてきた。
幾度となく主たる朔太郎について戦いを経験しては来たが、かつての従者であった丞には敵わないと無力さを痛感したりもしたものだ。
他人に対して心を閉ざし、誰かに頼ることも無く、どこか虚ろな眼差しだった朔太郎は、今回の一件で何かが変わった。
その変化は現在の従者たる衛にもまた影響を及ぼす。
漠然としていた想いはにわかに主体性を帯びて〝朔太郎を〟守りたいと、明確な形となって心に宿った。
──朔太郎さんを、守りたい。
願いは、祈りは、力になる。
朔太郎がコントロールした神の炎は、衛の身の内から溢れ出た。己を焼くことはなく、鬼を屠る力として纏う。
これまでよりも一層、思い描いたことが形になって行くような不思議な感覚だった。
感覚を見失わないように神経を研ぎ澄まし、衛は刀を握る手に力を込める。そして普段と変わらぬ動作で地面を踏みしめる足にも力を込め、重心を心なしか下へと落とした。
目の前には影鬼が迫るが、それがどうしたことか。
溜め込んだ力で地面を蹴り強い推進力を伴って衛は飛び出していく。刀身には赤い炎が宿り、衛の姿は夜にまるで浮かび上がるかのようだった。
全身を使った一太刀を影鬼に浴びせる。その切っ先の軌跡を追いかけるように神の炎が爆ぜた。
それは決意を帯び、覚悟を纏っている。衛の想いの全てを映しているようでもあった。