「錆びた命は夢に溺れる」感想と小話

壺のシナリオとは打って変わって不可思議かつ神妙なスタートでウキウキとしてしまいました。前回と同じく一緒の愛七ちゃんと共に、二人きりで心当たりのない土地で二日間のんびりしてね!という手紙が……
そしてマジで誰も出てこない!人間の痕跡が無さすぎて圧倒されました。
まぁ、結果としては不安はありつつも楽しもうぜ!のスタンスで案内にあった観光スポットをめぐり始めたのですけれど、これがまぁ凝っていて楽しい!
ロールでソフトクリーム巻けたり、卓球したり、くじ引き引いたりもしました。
とても楽しいのに、その場ごとにアイデアに成功すると今いる場所の世界の終わりみたいな光景を見るんですよ。だからほんのちょっと不安が残るのです。
自分はどこにいるのか、どんな状況なのか。そう言ったことはいまいちはっきりとしてこない。それでも周りを取り囲んでいる世界に人は自分たちしかいなくて、基本的にはただただ楽しく美しく快適というどうしようもなく矛盾していてアンバランスな感じがたまらなく楽しかったです。ほんとCoCやってるわ〜って感じでした。
ちょっぴりの不穏と大半の楽しさがずっと続いていくシナリオですが、一日目の終わりにとんでもない情報が。
この世界、滅んでいた!?しかも目の前にいる愛七ちゃんは、本物だけど海智くんの知る彼女ではないかもしれないときた!この辺りで、入れ替わりだろうなとはなんとなく思っていたのはリアルINTです。
目的はさておき、海智くんとしては危害を加えられることはないだろう雰囲気。だけどもう一人いる彼女、ならば入れ替わりだろうと思ったわけです。それでも海智くんは暴くつもりとかはないらしく、目の前の愛七ちゃんと楽しい時間を過ごしています。
なんとなく、様子は窺っているのですけれど楽しんでいましたね。
ラストの種明かしのところでは、怒っていいんだよと言われてしまうほどのお人好しさを発揮していましたが(本人曰く、愛七は愛七なんだから信用してるし酷いことなんてしないよ。とのことでして……)、最後まで感謝ときっと残していく彼女が長く生きることはないだろうことを察しながら、救いを祈って自分の世界の愛七ちゃんと今までと変わらない毎日を取り戻すことができました。
海智くんにとって、大切なものを大切と知れたお話でしたね。
めちゃくちゃ楽しかったし、最後のところで大変泣きました。ありがとうございました!

ここからは小話です。
「さよならのその先で」
隣にいて眠り続けている人。
彼女はさっきまで言葉を交わしていた人物と同じ顔をしているが、それとは全く別の存在だ。否、全く別とまでは言い切れないにしてもたどる運命は全く違うものである。
二人を見送った彼女がどうなり、どうするのか。
尋ねることは憚られたが、この二日間言葉を交わし笑い合った彼女はもうきっといないのだろう。
“仲良くしてあげてね”
その言葉が脳裏に焼き付いて離れてくれない。本当は、彼女自身の世界にいたもう一人の海智と仲良くしたかったはずだ。彼女を残して滅んだ世界、それはあまりに残酷で。
想像することすら許されないような、そんな悲劇と残酷と絶望しか残されてはいないのだろう。
そうでなければ、愛七がこんなことを行動に起こすはずがない。住まう世界が違っても、望月愛七は望月愛七だ。軽率にこんなことをする人物ではないということは、他ならぬ海智が一番よく知っている。だからこそ、ここまでの状況になってしまったことに恐ろしさも感じずにはいられない。
あの愛七はどれだけ悩み、苦しんだのだろうか。その上でもしかすると必死に笑っていたのだろうかとつい考えてしまう。
それはあまりにも辛く、悲しい。笑っていて欲しいと、そう望んだ自分はあまりにも残酷なことを求めていたのではないだろうか。
海智は残酷で愚かしい自身に息苦しさをも覚える。
彼女を傷つけたかったわけでもなければ、彼女に残酷な現実を叩きつけたかったわけでももちろんない。
だが──いや、だからこそだ。
隣にいる愛七には、やはり笑っていて欲しい。眠気を感じつつも海智は望む。
そして、二日間で知った“愛七が大切だ”と思う気持ちを伝えようと強く強く思う。後悔をしないように、そう思いながら海智の意識は沈んでいった。