「死中に生を求める」感想と小話

お声をかけていただきまして、連れて行っていただいてきました。
めちゃくちゃ久しぶりに動かした探偵だったんですけれど、懐かしいというよりはもう新鮮なレベルでした。
B級ホラー映画のイメージという、シナリオの触れ込みにどやどやと挑んでいったわけですけれども、
仕事で知り合った方(ということでKPが出してくれた方)にお誘いを受けて、一泊二日の旅行へ。星がよく見えるらしく、流星群を見ようというもの。それに加えて行き先と上がったペンションで起こった事件の話までしてくるのだから、とんでもねぇフラグもあった揉んだなどと思っていたら。
なんと、誘った当人は遅れてくるため一人でいくことに!?
いや、うん、ソロシだもんね……(この上なく身も蓋もないコメント)
そんなことを思いながら目的地へ向かって、微妙な気持ちでその日の夜。なんか、俺、死んでない!?という驚きの状態になってしまい(どうやら実際はそうではなかったっぽいというのが、このシナリオの面白いところだったと、振り返るとしみじみ思います)、他の人間に認識されることなく、あれ?こんな感じだったっけ?と違和感を感じながら、ふよふよと建物の中を探索していく中で、色々と起こった事件を体験していくというちょっと昨今にしては珍しいなと思うタイプのシナリオでした。いや、実際に結構前のシナリオらしいのだけれど、私はこういうのすごく好きだなって思ったので行けてよかったと思います。
みんなに姿が見えないのに、あの手この手を使って必死にコミュニケーション取ったり、最終的に協力関係になった彼の行動が自信満々にずれてて滑稽だったりとちょっと抜けてる感じが好きですね。
悪い人がバタバタとダメになっていったり、トリップしてて戻ってみたら問題ありませんでしためでたしめでたし〜というところも込みで、確かにこれはB級ホラーの味わいかも……?とにっこりもしてしまいましたね!
すごく楽しかったです、ありがとうございました。

以下は小話。

 不思議というか不可思議というか、そういう体験だった。
 鳴井紘太郎はしみじみと感じ入る。
 全くもってして不可思議な出来事に遭遇したことがないというわけでは決してなく、探偵という生業ゆえに出くわす不可思議も、何にも由来しない不可思議も、経験したことはあるのだ。
 だが、それにしたところで今回の一件は群を抜いていた。
 まさか自分の身体が実体を失うだなんて、考えもしなかった。意思疎通というのはこんなにも難しいことかと、思わずにはいられない。
 言えば貴重な体験だったと言えるだろう。
 本当に死んでしまったのではないかと大層焦った面もあるため、安堵の気持ちもかなりあった。
 基本的には人間関係、マンパワーで生計を立てているタイプの探偵であるという自覚は大いにある紘太郎だ。しかしそれは己が口で言葉を紡ぎ、己が態度で誠意を示してこそ成立する。
 それらの使えない、言ってしまえばアウェイの状況がこんなにも苦戦を強いられ、それでいてもどかしいものであるとは想像もしていなかった。
 解決し元通りの生活に戻ってこられたことは、奇跡と言っても良いくらいだろう。
 美しい景色を見ることもできた、少しばかりいい気分も味わえた。そこも含め、悪いことばかりではなかったとは言える。
 それでもやはり、不思議であり不可思議な体験であったことは間違いないないものだった。

 ペンションから戻り、次の仕事を事務所で待ちながら紘太郎はぼんやりと思考する。
 あの経験が何かの役に立つかどうか、それはわからないのだが──立たないとは断言できない。
 そうとでも考えておかなければ、今回の経験はただ埋もれていくだけだ。
 誰かが頑張って勝ち取った何かしらを、埋もれさせたいとは思えない。紘太郎はあの異様で恐ろしくそれでも楽しく不可思議な時間を思って空を見上げた。
 普段と変わらない青い空、それでもどこか普段よりも晴れやかに感じられる。
 勘違いだとしても、晴れやかであるべきだと紘太郎はほんの少しだけ口角を持ち上げるのだった。