前に見学をさせてもらったことはあったんですが、今回当事者になる機会をいただきまして!ありがたい!
PC1をさせていただくことになり、準備していった子がですね……渡くん。GMに中身がツイステッドしていると言わしめた男子高校生です。私、そういうの好きなんだなぁと思い知りましたね(言われてなるほどと思ったクチ)。
自分の好みって、自分では存外わからないもんだなと思うんですよ……まぁ、それはいいとしてですね、覚醒枠!初めてだったんでウッキウキでした。
GMに細やかな聞き取りをしていただいて、いい感じにえぐい(最高でした!ありがとうございます!)演出にしてもらったりして、ニコニコしていました。
PC2の朔くんがまぁ、毒舌でしてガンガン言われるんですが渡は今まで空虚さを感じる人間関係ばかりの中にいたもので、今までにないはっきりと強い言葉を用いたやり取りにちょっと楽しくなってきていましたね。
ミーハー野郎でもあるので、PC3の支部長、佳蓮さんに美人だ〜ってなったり、NPCである真花ちゃんに可愛いってなってたりするんですけど。最終日に知ったのは、この人は当事者でないからミーハーできるタイプで同じ舞台に立ってしまうとフリーズします。
自分の人生の主役はお前やぞ!となりました。(なお本人には「夢にみてたものが現実になったら驚くだろ」とのことでした)
オーヴァードになったことを体感(邪視+チョップで死にました。なお、チョップはつぐみこチョイス)して、苦手な日常世界とまだよく分からないオーヴァード世界を行き来するような感じに。
朔くんにちょいちょい教えて貰いながら、佳蓮さんにフォローしてもらいつつ渡のオーヴァードとしての生活が始まったわけです。
朔くんの最高にうまい猫かぶりに驚愕したり、矢神くんにいちゃもん()つけられてめんどくせ!ってなったり……矢神くんと渡は似たもの同士すぎて同族嫌悪抱いててですね、始まる前から根っこは同じじゃんという話はしてたんですよ笑
シナリオ始まったら渡は教室で言葉少なめに塩対応で返し、クライマックス前に出くわした時には、おまえ嫌いオーラ全開の対応でしたからね……後者のシーンで最初のシーンと違ってよく喋ることを指摘されてるところで、おまえがしゃべれって(前者のシーンの際に)言ってたからしゃべったんだけのなぁ、めんどくせ!って思ってました。
言葉には共感できるところがあるんです、たくさん。けど、だからこそ選ぶ手段が気に食わない。そんな感じで最後まで話してました。
クライマックス戦闘の時までに明らかには最序盤より成長したらしい渡が、過去の自分にもかかるような言葉を矢神に向けた時は感慨深かったですね。
双子の兄に同じこと言ってみ?ってなるとまだ処理しきれないんですけど。ほんとこいつ、自分は何するにも当事者意識がねぇな……!です笑
「帰りたくない」「家族が嫌」この理由で綺麗なお姉さん(佳蓮さん)のとこに転がり込む流れがあまりにもテンプレでふふってなっちゃいました!
何にしてもお前の将来、選びとる未来がまだまだ心配!衝動判定を一人だけクリアできなかったしね!www
楽しい時間でした、ありがとうございました!
以下は小話。
エンディングの先の話です。
御剣渡にとって、これまでにない経験が立て続けに起こっていた。
そもそもオーヴァードというものになってしまったということも、覚醒したというだけで変わり果てて凡庸さの失われてしまったことも、その能力が渡に“特別”を与えたということも──その全てが今まで知りもしなかったことばかりだ。
そして“己が己である”という実感を変貌によって覚えるに至った。そんなことは渡にとって、彼の人生の中でただの一度もありはしなかったことだ。
驚愕だった。今まで手を伸ばしても得られなかったものは、こんなにもあっけなく抱けてしまうものだったのかと。
だがこの変化は、今まで渡がしまいこんできたものを解き放つものでもある。
日常の大半には言うほど感慨を抱いてはいなかったが、彼にとって“家庭”の存在は負の感情とも言える想いをはっきりと刻んでいたのだ。
いつだってそれを笑って誤魔化し、全てに触れることのないように生きてきた。そのツケが、いなして逃げてきた感情たちがどっと渡に押し寄せる。
──こんなに苦しいなんて。
それが正直な気持ちだった。
別に側から見る分に不幸せな家族ではない。それは渡自身もそう思う。
渡の抱く想いは、見る人からみれば贅沢で、我儘で、不可思議とも見えるのではないだろうか。
だがそんな不自由なく生きていける家族、その存在こそがわたるにとってしこりとなっていた。
そもそも、双子の兄・徹に対する気持ちが問題だ。
御剣家の中心は徹である。
よく出来た、注目される、そんな人物。渡と同じところは顔くらいなものだ。
決して嫌いなわけではない。しかし、劣等感がこの上なく刺激される相手であり、そんな存在である徹を中心に回る家族の中で生きることはあまりに苦しかった。
だが、苦しい気持ちに蓋をしてしまえば大したことはない。そうやって、生きてきた。見て見ぬふり、流してしまえと全てに対して目を背ける。
けれど胸の奥底にずっとずっとその気持ちは存在していて、消えるどころか大きく膨らんでいく一方だった。
そんな気持ちを再び見てしまったのだ。直視してしまった。
いかに贅沢と言われようとも、いかに理解できないと言われようとも、渡にとっては生きにくく苦しい劣等の巣が“家族”の存在であり、今も昔も変わりない。自分という存在の精神の本質が変わらなければ、永遠に終わることのない静かな牢獄であることも確かだった。
人間の形をしたバケモノになろうとも、渡が渡である限り変わらぬ心である限りは、この点は不変だ。
今まではそれすら思い至ることもなく、ただ真綿に首を絞められるが如く緩やかに死にゆく心を閉ざし続けてきたのみであったため、小さくとも一歩を踏み出すことが出来たとは言える。
その結果が“家に帰りたくない”という発言だった。
自身の発言を受け止めてもらえたからよかったものの、朔の反応から思うに言葉は圧倒的に不足していたと痛感する。
佳蓮をはじめとしたUGNの面々の強力により、家族と離れる時間を得た渡はぼんやりと一人取り留めないことを考えていた。
平日は家族と顔を合わせないという生活は渡の気をかなり楽にさせているが、反面どこかこのままではいけないとも感じている。
佳蓮に伝えた通り家族に苦手意識があるのも、朔に伝えた通り嫌だという気持ちがあるのも嘘ではない。
だが朔の言った「かわいそう」という言葉もまた渡の中で引っ掛かりになっていた。朔はその言葉に大した意味を持たせていなかったのだろうが、渡はそれもまた一理あるものだと思う。
両親は別に何かをした訳でもないし、当然それは徹もそうだ。誰も渡を嫌ってなどいない、それは明らかだったのだから。
──今度の週末は、きちんと話をしよう。
何でもいい、他愛のないことを話せたらいいとそんなことを思う。上手くできる保証もない、普段してこなかったことを家族はどう捉えるかも分からない。
だが、今までやらないを選び繰り返してきた渡がここに来て抱いた気持ちは嘘ではないのだ。
小さな、ほんの小さな前に向けた一歩を踏み出すのは、彼自身にしかできない。それこそ受動的でなく自分が主役の自分の人生を生きるための一歩だ。
やっと、ほんの少し前を向く意味がわかった気がした。
