どこの国においても、相手の生まれた日を祝う習慣というのは概ね存在している。もちろん必ず、とまでは言わないにしても大切な相手が生まれた日を祝うというのは、人間にありがちなことらしい。
オスカーにしてみても、それは例に漏れない。
出会った時から変わらず、大切だとかけがえのない存在だと思ってやまないミオの生まれた日を祝い感謝することは、心から彼がそうしたいと思うことのひとつだ。
ホワイトデーと隣合う大切な人の誕生日、もちろんながらオスカーは毎年お返しとプレゼントを渡す。
バレンタインの返礼と生まれた日を祝うことは別物であり、どちらもオスカーがしたいと思うことに他ならない。ミオは毎年ほんの少しだけ申し訳なさそうに、だがとても嬉しそうに笑う。
その姿だけで幸せになれるというものだった。
高校の頃から変わらずミオの誕生日に贈るのは、小さな花たち。束というにも控えめなそれらはピンクと白とオレンジのバラだ。
ミオに対する思いを込め、未来を願ってこれを贈る。変わらない気持ちがここにあると、告げるように。
「ねぇ、ミオ」
リビングのソファでくつろぐミオに声をかける。彼は視線を寄越して「なに? オスカー」と柔らかな表情を返した。
「誕生日、おめでとう。これどうぞ」
ミオの正面へと立ったオスカーは、片膝をついて視線を合わせながら花を差し出す。
少しオーバーとも言える動作は、驚くほどオスカーに合っていた。
「わ、あ……ありがとう」
思わずミオは嘆息を落とし、次には花にも負けぬ笑みを咲かせる。穏やかで幸せな空気が、部屋を満たした。
──季節が何度巡ろうとも、キミとともに。
