気持ちを口にする価値を知る(tnzn)
「なぁ、善逸」 そう呼びかける炭治郎の声は低く重たい。正面で相対する善逸からは返事はなく、かわりにびくりと肩が震えた。「俺だって別に、文句を言いたいわけじゃないんだ。けれど、最近は忙しいわけじゃないんだろう? それなのにどうして毎晩帰りが遅…
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月夜に心、召しませ(tnzn)
今晩は一際、空に浮かぶ月が大きい。綺麗な円を描くそれに、おsれは見とれるばかりだった。「たんじろ? どうかした?」 少し前を歩いていた善逸が、くるりと振り返って首を傾げながら笑いかける。 善逸の金髪が月の光に照らされて、きらきらと輝いた。…
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喧嘩から生まれた宝石(tnzn)
あれはいつの頃の話だったか。付き合い始めて間もない頃だったかもしれないし、同棲を始めた頃かもしれない。 なんにせよ、なんらかの変化があった頃に両手の指で数えて余るほどの回数しかしたことのない喧嘩をした。 それもなんと他愛のないことか、醜い…
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君想い、君求む(tnzn)
どくんどくん、心臓の音が五月蝿い。早鐘のように打つ音は、緊張の現れだった。 目の前には俺の恋焦がれてやまない想い人。 俺の胸には今日こそ告げるのだと決意した秘め続けてきた想い。そして俺の手には花束がある。 想い人のことを考えて考えて選んだ…
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幸せの波紋(tnzn)
「なぁ、善逸」 炭治郎は穏やかに微笑み、善逸の手を握る。善逸はその様子に、小さく首を傾げた。「俺は今、とても幸せだよ」 口にした言葉に相違ない柔らかくあたたかな表情は、善逸にもまた同様の気持ちを与える。「俺もそうだよ」 握り返した手の温もり…
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髪の毛にかこつけて(tnzn)※柱if
いつの間にか伸び放題になっていた髪。すっかり長くなってしまったな、なんて思っていると隣に座った炭治郎が、まるでそれを見透かしたように俺の髪を撫でた。「俺は善逸のこの金の髪の毛が、とても綺麗で好きだよ」 否、見透かしたようではなくはっきりと…
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霹靂一閃
静寂を切り裂くのは鋭い呼吸の音だった。 存在そのものがまるで刃のように鋭く、研ぎ澄まされていく。重心の低い構えは、自身をその足をもって打ち出そうという圧倒的な気迫を感じさせた。 そして雷鳴にも似た轟音と共に、かの身は真っ直ぐにその目標を貫…
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生々流転
凛と清廉な空気が流れる。呼吸の音だけがやけにはっきりと響いた。 〝水は形を変える〟 教えの通り柔軟に、そして流れるように意識する。 ──力むな、身体に刻んだ鍛錬の証を示すんだ。 これぞ最後の型。そして最強の型だ。水の流れが意志をもつように…
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月にかけよ(tnzn)
どこまでも大きく、美しい縁の形は、信仰のひとつでもしてみたくなる。 それくらいの美しい夜空の下で、その美しい円を描く月にも負けぬ金糸と黄色の羽織が舞った。月を背負い舞う姿はまるで空からの使者のよう。そして轟かす轟音は雷神の申し子の如し。 …
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ひと目で落ちる(tnzn)
いつも電車で見かける人を、なぜだろう目で追ってしまう。 そのきらきらした金髪のせいだろうか、蜂蜜のような甘い瞳の色に惹きつけられているのだあおうか、それとも見た目なんてどうでもいいほどに惹かれる何かがあるのだろうか。 分からない、分からな…
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支えるなんて言えないけれど(tnzn)
あんまりにも悲しいと思った。だってそうだろ? お前の経験はあまりにも残酷だもの。お前はきっとそんな風には言わないんだろうけど。 だから無理して笑わなくてもいいんだよ。俺のこと頼ってくれよ。 いや、泣いて縋るばかりの俺なんて何の役にも立てん…
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悩ましきは恋心(45)
心を偽る、それは壮五にとって残念ながら慣れたことだ。 心を、気持ちを、多くを偽って、押さえ込んで生きてきた。 そのはずだ。 けれど、初めてそれをはっきりと苦しく感じた。仲間への偽り、友への感情を飲み込み、そして──環への気持ちに蓋をする。…
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