求めるは蕩けるほどの(tnzn)
炭治郎の目の前に経つ善逸は、露骨なまでに頬をふくらませ僅かに視線を外してはすぐにまたその視線を戻すことを繰り返している。善逸の耳をもってすれば目で様子をうかがわずとも、諸々のことは筒抜けであろうにそうしないところが炭治郎から見て堪らなく愛…
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現実が今ここで崩れゆく
何気なく覗き込んだ一面ガラスのショーウィンドウに、映り込む者を見てぐらりと目眩を覚える。善逸は思わず双眸を手で覆うが、瞼の裏に貼り付いたように先程の光景が目に浮かぶ。――自分じゃない、自分の姿が確かに見えた そんなはずはない、頭では否定し…
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夕陽がみてる(tnzn)
ゆっくりと近づけていた顔を二人ともに離すと、柔らかな笑みを浮かべながら炭治郎は善逸の頭を撫でた。「炭治郎、お前……ずるいよ」 口をとがらせながら、言葉は非難するようなものではあったが穏やかな声と、穏やかで少し潤んだ瞳を向ける善逸に炭治郎は…
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非日常からの帰還(tnzn)
「あっ……炭治郎、おかえり」 炭治郎の部屋の前で廊下に腰を下ろした善逸が、眠気を帯びた柔らかな声で迎える。 日没からはどれくらい時を刻んだだろうか。外には明かりひとつもうないような時間にもかかわらず、善逸は炭治郎の帰りを待ち続けていたようだ…
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嘘のつけようはずもなし(tnzn)
炭治郎の鼻をくすぐる匂いは、どこまでも甘く酔ってしまいそうなほど強く強く彼の理性を揺さぶる。匂いの主は言わずもがな、炭治郎の目の前に立つ善逸だ。 恥じらうように目を逸らし、これ以上は近寄るなと言わんばかりに手を前に出し炭治郎を制する様子を…
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安らぎの香り(tnzn)
――あの日の家族を夢に見る。 血にまみれた兄弟と母親、返り血で赤く染った部屋、鼻に突き刺さる血の匂い。夢だとわかっていても、その鮮明さに心臓の鼓動が早くなるのがわかる。 しかし次の瞬間、優しくてしかし芯の通った香りが鼻に届くと、まるで嘘のよ…
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ゆめうつつ(tnzn)
――夢を見るんだ 自身の膝の上に開かれた両の手を見つめ、善逸は思う。――幸せな夢なんだ 情けない自分、どうしようもない自分だけれど、いつだって理想の自分を夢見ていることを。――俺だって 炭治郎たちの姿を見て、自分にも何かができると信じたくな…
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秘めよ想い(tnzn)
――言葉にしてしまったら、この関係性が終わってしまうのかもしれない。我慢しなければならない。大丈夫……俺は長男だから、耐えられる 炭治郎の頭の中を巡るのは、恋慕の想いだ。そしてその相手は、同期の隊士である善逸だった。よき同僚であり、良き友で…
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あとの祭り(tnzn)
「善逸」 炭治郎の呼ぶ声に、善逸は振り返りながら返事をするかわりに視線を向ける。「何故、裸足のまま庭に降りたんだ?」 壁に囲われた中庭の真ん中に立ったまま善逸は、縁側に立ち首をかしげている炭治郎へ向ける視線に恨めしさを乗せた。今日は一段と大…
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イブの恨み節(tnzn)
騒がしいほどに陽気な鈴の音が鳴る。この時節特有のともすれば強引にも思える季節の呼び声は、善逸に大きなため息をつかせる。「どうしてこの国のクリスマスは、カップルがイチャイチャすることが定番なんだろうなぁ!」 忌々しそうに善逸はそう口にして、…
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諦めは願い(tnzn)
物心ついた頃から、大切にされた覚えなんてない。物心つく前からずっとそうだったんだろう。 いつもいつだって、たくさんの音が俺の耳には響いていて、これは何の音だろう、これはどこから聴こえるのだろう、そんな疑問ばかりが俺の考えを支配していた。 …
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音に君想う(tnzn)
心臓の音がする。力強い心音に血の巡る音が重なり、ああ大丈夫だと安堵する。 目の前のでただ眠っているかのようなお前の姿は、そのままいなくなってしまうのではないかという不安を抱かずにはいられない。 なぁ、いいかげん目を覚ましてくれよ。
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