逃げる尾を掴むには
思うにこれが恋だろう。 断定できない理由はただ一つ、これは初めて抱く気持ちだからだ。胸の奥が締め付けられるような、そんな切なさが込み上げて止まらない。(きっと筒抜けなんだろうなぁ) 炭治郎は切ない気持ちを自身に抱かせる金髪の君に思いを馳せ…
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後に彼を希望と呼んだ(tnzn)※年齢操作ネタ
ぼんやりとただ空を見上げている。 空はこんなに青かったのだったか、などと彼は薄ぼんやりと考えを巡らせた。 彼の青空によく映える金髪はきらきらと輝いていたが、青年の表情は暗い。生気のないべっ甲のような色をした瞳は虚ろで、少し痩けた頬と血色の…
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珍しい姿の君へ(tnzn)
「不甲斐ない……」 いつもよりも元気の無い掠れた炭治郎の声が、ぼそりと歯切れ悪くこぼれる。「何言ってんの。調子悪くなることなんて誰にもあるじゃん」「けれど、やっぱり俺の体調管理が……げほ」 言葉もろくに紡げないまま、炭治郎は咳き込んだ。「な…
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立ち上がり手を伸ばせど(tnzn)
全身に酸素が巡る。身体が応えるようにどくんと脈打ち、まだやれると訴えた。 頬についた傷からは血が溢れ、その感覚が煩わしいとでも言わんばかりに乱暴な手つきでそれを拭う。「俺は、折れない……! 絶対に!」 戦意も覇気も失われていない、強く凛と…
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悪戯の唇(tnzn)
「たぁんじろ!」 その呼び声は楽しげに弾みながら、炭治郎の背中から本人へと届く。楽しげな様子を感じながら、家事を終えた炭治郎はそのままくるりと振り返った。 するとすぐ目の前に善逸の顔があり、驚きに目を見開いている間に触れるだけの軽いキスが見…
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知らないふりは出来なくて(tnzn)
善逸から甘い匂いがした。 どうやら考え込んでいるのか、俺のことには気づいていない。けれど、この匂いがどんな感情から来るものかは知っている。 ──これは好意、しかも友情ではないものだ。 これまでも何度かこの香りは感じていた。けれど、こんなに…
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言わないつもりが崩れさる(tnzn)
好き、なんて言葉をまかり間違ってもかける訳には行かない。 当然だが友達として申し分なく、そこについてはまごうことなく好きだ。けれど、そういうことじゃない。 ただでさえ多くのものを背負うあいつだ。俺まで背負わせる訳にはいかないし何よりもあい…
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逢瀬を願うはずだった(tnzn)
しとしとと降り続ける雨が窓をうちつける。おそらく梅雨は明けたか明けるか、そのくらいなのだろうと思わせる天気が続いていただけに、番狂わせが起きたかのようにも感じられた。 その空模様を教室の窓から残念そうに見上げているのは善逸だ。「どうしたん…
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救うべくは(tnzn)
素早くそして重たい打撃音。そして間髪入れずに壁に何かがぶつかる音が響いた。「善逸!」 背中をしたたか打ち付けられた善逸が、炭治郎の悲鳴にも近い呼び声にぴくりとその身体を動かす。 一切の容赦のない攻撃だった。そしてその敵は、善逸を戦力と数え…
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いつも通りの(tnzn)
「たぁんじろぉ〜……」 涙を溜めながら炭治郎にしがみつく善逸の姿は、もはやいつもの光景となっていた。「おかえり、善逸」 炭治郎はしがみついてくる善逸をしっかりと受け止めながら、背中をさすってやる。 目立った怪我も特になく、泥や土埃の汚れ程度…
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神となろうとも(tnzn)
――これは契約だ。 頭の中に声が響く。目の前に確かに存在するそれは、人の形をしているだけで人ではない者なのだと思い知らされる。 ――すぐにここから立ち去り、二度とここに足を踏み入れないこと。 相変わらず頭の中で響き渡るその凛とした声が、耐…
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金色の夢(tnzn)
どうしても見て見たいものがある。 それは、生まれてこのかたずっと夢に見てきた一人の人物の姿だ。物心ついた頃から、その人物は夢枕に幾度となく立ち、ときに情けなく、ときに恥を晒し、ときに慈しみ、ときに照れくさそうに愛をくれる、そんな存在だった…
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