しるべの音(tnzn)
どうしてこんなにも眠たいのだろう、よく分からない……ぐらぐらと揺れる視界にも灯りがもれている場所は分かった。とりあえずあそこまで、あの場所までは行こう。ただただ眠たくて、眠たくて仕方がない。 ああ、やっと灯りが近くなってきた。あいつはいる…
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懊悩する音は、陽光の音に絆されて(tnzn)
神童、そうもてはやされた存在はいつかはただの人になる。それが遅いか早いか、それぐらいの差しかない。 少なくとも一人の少年は鍵盤の神童と呼ばれ、そして早々に心が折れてしまった。大人の期待と欲望は幼かった少年には耐えきれず、表舞台から忽然と姿…
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スリーカラーに煌めくとき(kmbk)
今日は、間違いなく運命が変わる日だ。 控室にいる三人にお願いしますと、スタッフからの声が掛かった。三人は視線を交わし、各々が承諾の言葉を告げる。 まず最初に意気揚々と立ち上がったのは、白とイメージカラーの青を取り入れた衣装を着崩しつつ身に…
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金緑の想いの行方(tnzn)
ぽろり、ぽろり、涙が石になる。こぼれ落ちる石はきらきらと金緑の色を放ちながら床へと転がり、ころころと音をたてた。 泣き腫らしていたはずの当人が、予想だにしなかった状況に絶句して、途端に涙もピタリと止まる。「え、なに? これ……」 その言葉…
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言い入れるは切実たれと(tnzn)
――神様、俺、明日死ぬ? 寧ろもう死ぬの? 善逸は目の前の状況に、無意識に死を覚悟しそうになる程には混乱していた。実際はそんなことなど一つもない、側から見れば幸せを願い祈られるようなものなのだが、善逸本人はそれは自身に不似合いだと思い疑わ…
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前後不覚の口付けに(45)
「たぁくん〜」 環の部屋にノックひとつなく押し入ってきたのは、顔を真っ赤に染めてゆるい笑顔をうかべる壮五だった。 壮五の足元はおぼつかず、ゆらゆら揺れながらも一歩ずつ環の方へと近づいてくる。「わ、びっくりした……あんたまた飲みすぎたのかよ」…
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運命と呼ぶにふさわしい(45)
「幸せになってください」 そんな言葉を向けられたのはまだ冬の寒い頃だった。 ──別に。言われなくても幸せになるし。 あの日、去っていく背中に負け惜しみにも似た言葉を向けたことは、環の記憶にまだ鮮明に残っている。 そもそも、その言葉は環からす…
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背伸びしない僕たち(45)
これあげる、という言葉とともに環が壮五に差し出したのは何の変哲もない鍵だった。 壮五は環の真意をはかりかねて小さく首を傾げると「これは?」と問いかける。「部屋の鍵」 淡々と告げられる答えに、壮五がハッとした。 環も壮五も少し前に寮を出て、…
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祝いの初めは君と(45)
寮に仲間たちが集まっているときの空気が環は好きだ。 それもあって普段、なんとなく理由もないままに共同スペースであるリビングにゲームをしながら居座ってしまったりする。 今日も今日とてそれだ。 だが、今日はいつもと比べて周りの雰囲気はどこか慌…
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ネコ耳はえた!?(45)
朝起きて、すぐに違和感に気づいた。 それは頭の上にある奇妙な存在感だ。壮五はそれの正体を確認すべく頭の上に手を伸ばす。 その時だ、自室の扉の外から声が響いてきた。「そーちゃん、入っていー?」 それは間違いなく環の声だ。普段通りの彼の声に壮…
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実感のある輝きへ(45)
最近、クリスマスと銘打たれた仕事が増えた。それは環の所感である。 仕事柄どうしても世の中のイベント事の先を行くことになるものだが、大きなイベントに関連するものは特に多くなるのだ。 これまでは誕生日と同じく楽しく過ごす日である、という程度の…
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もしもあめがつづくなら(45)
「な。そーちゃんは、雨がやまなくなったら……どう思う?」 環の言葉は唐突だった。外は快晴、雲ひとつない空を見上げると爽快さを感じるほどだ。 しかし環が壮五に対し、口にしたのは雨の疑問。 どうしてこの質問を口にするに至ったのかという想いと、そ…
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