二枚目の短冊と祈りの言葉(tnzn)
願いごとを綴る短冊は、複数あってもいいらしい。 意外と太っ腹なものだなどと考えながら善逸は素知らぬ顔で、短冊に手を伸ばす。 既に我欲にまみれた短冊は、七夕飾りとして結び付けられているがそんなことはどうでもいい。彼は今、そっともう一つの願い…
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渡津海ぞ知る(tnzn)
――海へ行かないか。 そう提案したのは炭治郎だった。 梅雨も明け、すっかり本格的な夏の到来を、焼けるような日差しと、茹だるほどの暑さを持ってして強く強く感じる。 そんなどうにも夏を楽しもうというには憂鬱さを感じずにはいられないなか、炭治…
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とある日の始まり(tnzn)
――夢をみた。 それは、それは、あたたかな夢で、自分自身がどうなってしまったのかと一抹の不安を感じてしまうほどのものだ。 こんな幸せがずっと続けばいい。そんなことを祈りながら夢から醒める。 善逸の視界に飛び込んできたのは、見慣れない天井…
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眠る記憶に咲く花(znzn)
ここはどこだったっけ、俺は何をしていたんだっけ。 見回してみても誰もいないし、何も無い。ここは、どこだ。 どこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだ。 歩いてみて、走ってみて、止まってみて、ぐるっと見回…
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不穏の音、幸福の音(mobzn)★
不穏な音がする。欲にまみれた、吐き気すらも催してしまいそうなそんな音だ。 いつから続いているのかはもう思い出せないが、このところずっとその音を耳にしているような気がする。実際の音なのか、幻聴なのかも定かではなくなりつつあるそれは、嫌な想像…
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見えぬもの、嗅げぬもの、感じぬもの(kmbk)
逢魔時、黄昏をまたぎ闇が空を塗り潰そうとしている。屋敷に明かりが灯りはじめ、あっという間に屋敷全体にぼんやりと淡い明かりが広がった。暗闇に灯った明かりに、善逸はほっと小さく息を吐く。 部屋には善逸と、炭治郎そして伊之助の姿がある。三人は夕…
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いつかの灼熱の断片(tnzn)
それは何の変哲もない、ある日のことだった。善逸は待ち合わせのために外出したのだが、早く着きすぎてしまって文字通り手持ち無沙汰だ。 待ち合わせの場所で待ち続けるには、あまりにも早く周りをぐるりと歩いて時間を潰そうと考えた彼は、手元の時計を確…
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伝えたいことがあるんだ(tnzn)
爽やかな陽気のなか、屋敷には一人当てがわれた部屋で文机に向かったまま唸る炭治郎の姿がある。 文机の上には紙と細身の筆、そして認めるための墨と文字をしたためるための一式が揃えられていた。しかし炭治郎の目の前の紙は、真っ新なままだ。 唸り声の…
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君に約束の指切りと(tnzn)
自分の人生ではない、でも確かに覚えていることがある。かつて自分の魂がみて、経験して心に刻んだことは、今生の彼にも深く刻まれていて、こうして今もその時のことがまるで昨日のことのように鮮やかに蘇ってくるのだ。 炭治郎は妙なまでに色鮮やかな夢と…
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嘘ではなく誠の(tnzn)
炭治郎は緊張していた。それもそのはず、彼はいま初めて訪れる家の門の前に立っている。「みんな出掛けてるからさ、遊びに来ねぇ?」と、言われたのはつい先日のことだ。先輩である善逸は、学期末の登校日に声をかけてきたかと思えばそう誘ってきたという訳…
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