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幸せの在処(エミマル)

 空は快晴、しかしエミルの表情はどんより重く曇っていた。 目的地へ向かう道すがらも重い表情と調子の悪そうな様子も垣間見えるエミルに、同行していた仲間たちは休息を提案する。エミルはしばらくその提案に対して申し訳なさそうに答えを出し渋っていたが…

雨の日の君と僕(エミマル)

『どうやら、一雨来そうですよ』 あいも変わらず大地の存在に縛られることなく宙に浮いたまま移動しつつテネブラエは、自身が感じ取ったのかはたまた配下の魔物たちから情報を得たのか、なんにせよ雨の到来の予言を発する。 しかし、エミルとマルタの前に広…

其の心は高みに舞う(エミマル、ラタマル)

「エミル」 アジトの廊下を歩くエミルを後ろから呼び止めたのはイクスだ。その呼び声にエミルは足を止め、イクスの声がした方へと振り返った。「イクス? どうかしたの?」「いや、大したことじゃないんだけどな……ちょっと聞いてみたいことがあって……」…

響け魂(コーイク)※闇堕ち描写あり

『堕ちる魂』——あの日から、どれだけ時間が経っただろう? 一瞬しか経っていないようでいて、永遠にも等しい時間を渡ったあとのようにさえ思える。実際どうなのかを確認する手立てはないのだが。 一度瞬きをすれば辺りは、見渡す限り結晶に広範囲を侵食さ…

それは綿菓子のような(スレミク)

 いつもの校舎の姿は一変していた。華やかな飾りつけや、いつもの何倍もの人たちが行き交う校庭や廊下は、別世界にでも迷い込んだかと思うほどの変わりようだ。そんな人の溢れかえる廊下を出店で買ったのだろう綿菓子を頬張りながら歩くスレイの姿があった。…

勘違いのトリックオアトリート(スレミク)

 静かな辺りに扉を叩く音が響く。扉の前にはソワソワとした様子のスレイの姿、そして重さを感じる軋むような音をたてながら開いた扉の奥にはミクリオの姿だ。「トリックオアトリート!」 幼い日に聞いたときには、お菓子をもらえる魔法の言葉のように思えた…

Give me your time(スレミク)

「なぁ、ミクリオ」 快晴の空の下、暖かな日差しに照らされるミクリオの瞳はきらりと輝いて、声をかけたスレイの方へと真っ直ぐな視線とともに向けられる。スレイは若干緊張したいつもよりもぎこちない笑顔を浮かべ、彼もまたミクリオにまっすぐ視線を向けて…

前途は洋々、晴れやかに(スレミク)

 雲ひとつない青い空の下、ふわりとそよ風が大地の匂いを運んでくる。スレイとミクリオはそんな、いわばグリンウッドからの加護とも言えるような自然が運ぶ空気を大きく吸い込んで背筋を伸ばした。「ん~!いい天気だな」「そうだね、これからの僕らの旅路を…

空と大地が違えども(スレミク)

 空は青く雲ひとつない快晴、暑くもなく寒くもないそんなティル・ナ・ノーグのうららかな環境を全身で感じながら、スレイは一人小高い丘の草むらに寝そべっていた。 スレイの瞳に映るものは、今この世界におとずれている危機など感じさせない。そんな仮初の…

時よこのまま(スレミク)

「なぁ、ミクリオ。……オレと付き合ってください」 いつもと変わらない声色で告げられた告白の言葉に、ミクリオは目を丸くした。変わらない声色とは裏腹に、スレイの表情と眼差しは緊張を含む固いもので、それからは真剣で真摯な思いがありありと伝わってく…

ひとりじゃない、かわりじゃない(コーキス)

「マスターは俺が命にかえても絶対元通りにするよ」 相変わらず殺風景でいて、神秘すら感じさせる心象風景の中でイクスを前にしたコーキスは、きりりと緊張した面持ちで告げた。 コーキスの言葉にイクスは困ったように眉を下げながら笑ってみせるが、直ぐに…

いとしい人(コーイク)

 窓から部屋に風が吹き込む。風は優しく柔らかで、あたり一帯が平和であることを感じさせた。 そんな風の吹き込む部屋は殺風景なもので、ベッドが一つと机と椅子のセットがひとつ、それだけの簡素なものだ。そしてそのベッドの端、窓際に神妙な面持ちで腰掛…