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花より君が美しき(スレミク)

 ——世界は美しい。 そんな月並みな言葉すら霞むような、一面の花畑が二人の前には広がっていた。「すっごいなぁ!」 感嘆の声をもらしながらスレイは、目の前の景色にその瞳を輝かせる。色とりどりの花々は、一見するだけでは季節感をも無にしてしまいそ…

時間よ止まれ、と望むことは無いだろう(エミマル)

 時の流れる音がする。 それは時計の針が進む音であったり、誰かの歩く足音であったり、心臓の鼓動であったりと様々だ。 確実に時間が経過していくことを表すそれぞれの音たちが、エミルは怖いと思った。それらは等しく自分を置いていく。 何故ならば、そ…

キミが好き(エミマル)

——耳触りのいいその声が、好きだと思った。もちろん、その空のような美しい青色の瞳と美しい亜麻色の髪も、少し小柄で華奢な彼女の全てが愛しい。これと決めたら真っ直ぐで、一途で、そして誰よりもエミルを信じる理解者であるマルタのことを、誰よりも理解…

ハロウィンナイトは美しき(エミマル)

「ねぇ、マルタ……恥ずかしいよ……」 所在なさげにするエミルが纏うのは、いわゆる仮装の衣装だ。彼の衣装は狼をモチーフにしたもので、ワイルドさが重視されているのか肌の露出も多めだった。 彼の普段の服を考えると、露出度についてはそこまで問題では…

健やかなる君に送る世界(スレミク)

——あれからどれだけの時が流れたのだろうか 永遠を生きる天族、ミクリオは流れた時を忘れてしまうほど待ち続けた。待ちに待ち、さらに待ち続けた日は遂に訪れる。見るはずのない夢に見た思い描いた姿だった。 文字通り、待人来る。幼馴染で、相棒で、親友…

年明けを告げる鐘の音と夢の続き(スレミク)

 カウントダウンの声が街中に響く。街全体の熱に浮かされたような落ち着きのなさは、期待と希望を胸に抱く明るいものを感じさせるものだ。スレイとミクリオの姿は、多くの人が集まる街の広場にあった。街の住民達と同じく彼らも期待と希望に満ちた表情で、年…

二人ならば(スレミク)

 衣替えを学園から通知され、ひと月ほどになった。衣替えの初日やその周辺はさすがに暑い日もあり、生徒達は不服を口にしていたものだ。しかし、次第にそれも減っていき気がつけば紅葉を越え、出歩く人々の出で立ちも一枚また一枚と重ね着をする人が増えてい…

聖夜の夜の輝きと(スレミク)

「なぁなぁ、ミクリオ」 授業が終わり教室を出ようとしたところで、スレイは声を弾ませながらミクリオに呼びかける。視線を向けたミクリオの視界に飛び込んだのは、瞳をきらきらと輝かせるスレイの姿だ。「どうしたんだい?」「今日、寄りたいところがあるん…