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我妻善逸を囃す(kmbk)

「俺、自分の生まれた日ってのは知らんのよ」 善逸はいつもと変わらない調子で話す。一方で炭治郎はその衝撃にすっかり固まってしまい、伊之助はよくわからないといった様子で首を傾げた。「ふんどしに書いてなかったのかよ」「だから、それはお前が親に愛さ…

竈門炭治郎に捧ぐ(kmbk)

 誰かを想い、誰かのことを祝えるということは幸せなことだ。そんな相手がいて、その相手がそれを受け入れてくれるということが、当たり前に成立しているのだから。 それすらも許されなかった善逸からしてみれば、そのありがたみは身に染みすぎるほどに痛感…

君は安らぎの場所となるだろうか(tnzn)

 パーソナルスペースというやつは厄介だ。人によって認識が大きく異なる、その個人差が原因だ。狭い分には対応がきくだろうが、そうでないあまりにも広いスペースを有していると、なかなかに本人は生きづらいものだろう。 これは学生がコミュニティの中で友…

慶び、舞へ至りて奉じ納めしを(tnzn)

「慶び、舞へ至る道」 新年を迎えることは、とても喜ばしく同時に炭治郎にとって緊張も抱かせる。何故ならば炭治郎はこれから、神事に臨むからだ。  ヒノカミ神楽を、奉納して欲しい。  そう頼まれたのだ。新年を迎えることはすなわち、この神楽を奉納す…

君も幸せでしたか(tnzn)

 欲しいものほど手に入らない、というのはよく言われる話だ。 実際それは、炭治郎にも適用されているらしい。何故なら、炭治郎が手を伸ばしても手を伸ばしても、彼の求めるものはその手をすり抜けて行ってしまうのだ。 相手からは自身に向けられた恋慕の甘…

カウントダウンの瞬間は(kmbk)

 多くの人が今か今かとその瞬間を待ちわびる。 カウントダウンの声が、熱気を帯びてにわかにあたりの空気が期待の色を帯びて行くのが伝わった。 その様子に釘付けになり、きょろきょろと辺りを見回しているのは伊之助だ。「すげぇな、こんなの初めてだ!」…

罰に恋して(tnzn)

 大きな白いレースのヘッドドレスが鮮やかな金髪の上で存在感を放つ。胸元の大きく開き、腰元がきゅっと引き締まったフリルミニスカートのワンピース――いわゆる、メイド服というやつだ――からは、洋服には似つかわしくない無骨で筋肉質な脚が伸びていた。…

お味はなあに?(tnzn)

 俺は今日、どうしても成し遂げなければならないことがある。 そう……それは……、竈門くんとポッキーゲームをする事だ。俺はいま一つ下の学年の竈門くんに、片思いをしている。どうしてかはよく分からないけど、何故か気がつくとあの後輩のことを目で追っ…

悪戯の意味を教えて(tnzn)

 お菓子をくれなければ悪戯をするぞ。  その言葉は毎年やってくるイベントごとで、人々が楽しく口にする決まり文句だ。その言葉はもちろん、ハロウィンというイベントを楽しむためのもので、それ以上の意味はないのだが、炭治郎はその言葉に悶々としてしま…

狐は嫁に入りたい(tnzn)

 ――見知った場所のようでいて、実際はそんなことなどありはしない。 よく似ている全く覚えのない建物、知らない道。それらはまるで襲いかかり人間を喰らいにくるのではないかとすら思えて、迷子の少年の心を不安で埋め尽くしていく。 彼の瞳には涙が浮か…

闇紛れ、こと成すを(tnzn)

 それは雨の日のことだった。 分厚く重たい雲から大粒の雨が落ちてくる、気の滅入るような晩のこと。 一人の子供が通りを走っていた。 鮮やかな黄色のレインコートに揃いの靴を履き、コートのフードをきちんとかぶって手で押さえながら、子供は必死に駆け…