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幸せの波紋(tnzn)

「なぁ、善逸」 炭治郎は穏やかに微笑み、善逸の手を握る。善逸はその様子に、小さく首を傾げた。「俺は今、とても幸せだよ」 口にした言葉に相違ない柔らかくあたたかな表情は、善逸にもまた同様の気持ちを与える。「俺もそうだよ」 握り返した手の温もり…

髪の毛にかこつけて(tnzn)※柱if

 いつの間にか伸び放題になっていた髪。すっかり長くなってしまったな、なんて思っていると隣に座った炭治郎が、まるでそれを見透かしたように俺の髪を撫でた。「俺は善逸のこの金の髪の毛が、とても綺麗で好きだよ」 否、見透かしたようではなくはっきりと…

霹靂一閃

 静寂を切り裂くのは鋭い呼吸の音だった。 存在そのものがまるで刃のように鋭く、研ぎ澄まされていく。重心の低い構えは、自身をその足をもって打ち出そうという圧倒的な気迫を感じさせた。 そして雷鳴にも似た轟音と共に、かの身は真っ直ぐにその目標を貫…

生々流転

 凛と清廉な空気が流れる。呼吸の音だけがやけにはっきりと響いた。 〝水は形を変える〟 教えの通り柔軟に、そして流れるように意識する。 ──力むな、身体に刻んだ鍛錬の証を示すんだ。 これぞ最後の型。そして最強の型だ。水の流れが意志をもつように…

月にかけよ(tnzn)

 どこまでも大きく、美しい縁の形は、信仰のひとつでもしてみたくなる。 それくらいの美しい夜空の下で、その美しい円を描く月にも負けぬ金糸と黄色の羽織が舞った。月を背負い舞う姿はまるで空からの使者のよう。そして轟かす轟音は雷神の申し子の如し。 …

ひと目で落ちる(tnzn)

 いつも電車で見かける人を、なぜだろう目で追ってしまう。 そのきらきらした金髪のせいだろうか、蜂蜜のような甘い瞳の色に惹きつけられているのだあおうか、それとも見た目なんてどうでもいいほどに惹かれる何かがあるのだろうか。 分からない、分からな…

支えるなんて言えないけれど(tnzn)

 あんまりにも悲しいと思った。だってそうだろ? お前の経験はあまりにも残酷だもの。お前はきっとそんな風には言わないんだろうけど。 だから無理して笑わなくてもいいんだよ。俺のこと頼ってくれよ。 いや、泣いて縋るばかりの俺なんて何の役にも立てん…

信心のカタチは時にその姿を変えて(tnzn)

 疑心、思い込み、恐怖、猜疑。人間は人間を疑い、恐る。それが如何に信用している者でも、愛する者であったとしても。 疑いは全てを崩壊させ、無へと追い込んでしまうものだ。 ──もう誰も信用出来ない。 それは自然に受け入れるしか無かった疑心。他人…

ぼくたち、かまぼこたい #2 季節はずれの探検(kmbk)

 ともだち、というのはいいものだ。一緒に過ごせばいつもよりも楽しく、笑顔でいられる。 炭治郎もまたそうだ。入園の初日から紆余曲折はあれど日々を楽しく過ごせる友に出会えたのは、実に良い収穫だった。 同じ組の伊之助と、クラスは違うが炭治郎として…

頑ななる君、日輪の君に崩されて(tnzn)

鬼の首魁はその存在を、今まで以上に慎重に隠した。それは、鬼殺隊の終わらぬ戦いを示しており、それと同時に世代の交代を迫られているとも言える。先の鬼舞辻無惨との戦いにおいて功績を挙げた竈門炭治郎は、日柱の席を与えられた。本人は無惨との戦いについ…

金の輝きは天使の如く(tnzn)

 息が苦しい、腹が痛い、頭が割れそうだ。 そう感じて気がつくと、周りにはたくさんの人がいる。あれ、これってもしかして担架なのか? ぼんやりと考えているうちに、迅速に俺は担架に乗せられて運ばれていく。その先には何かが待っていた。何だろうあれ。…

きらめきセンチメンタル(tnzn)

 空の色が青から橙へと染まる。寂しい気持ちが膨らむ頃には、楽しく遊んでいたはずの友達が一人、また一人と、家へと帰っていく。大半の家では「暗くなるまでには帰ってきなさい」と言い含められているだろうから、当然のことではあるのだが。 そしていつも…