もどかしきは恋心(45)
そーちゃんは鈍感だ。 ぜってぇ、そうに決まってる。 だって、顔を寄せても抱きついても嬉しそうにしてるけど、恥ずかしそうにもするけど、なんも言わねぇ。 好きだって言ってみたら「ぼくもすきだよ」とか言ってにこにこしてるだけだし。 そろそろ気づ…
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冷たい夢にぬくもりを(45)
──嫌な夢を見た。 それは親と妹との望むはずのない別離。絶望と悲しみ。 それは大好きな叔父を冷たくあしらう血縁の冷えきった感情。 ──見たくない。思い出したくない。 必死に忘れようと蓋をした気持ちたち。忘れたい現実たち。 うなされて、目が…
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君が好き(45)
「たぁくん、そーちゃんのこと好き?」 酔っ払ってすっかり出来上がった壮五は、環にまとわりつきながら問いかけた。「んー、好き好き」「そんな好きじゃないー!」 軽めの〝好き〟はお気に召さなかったらしい。壮五はじたばたと不服を表す。 その様子にか…
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お兄さんより(2→45)
仲良しメッゾくんたちが、他愛もない喧嘩をしている。 いつだったか、二人して合わないと仲良くなれないと話していたことがあった。 それをあいつら分かってねぇな、と思ったものだ。 喧嘩するほど仲がいい。 この言葉がこれ程似合うふたりはいないだろ…
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しょうがねぇ/しょうがない(45)
「しょうがねぇ」「寂しい」 そーちゃんが言った。小さい声でもよく分かる。 きっと言ったことにも気づいてない。それくらい無意識の言葉なんだろう。 これまではこんなこともなくて、そーちゃんが寂しがってるのに少し嬉しいと思ったりもする。 いや、違…
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雨は好き(45)
雨は降られると不便だが、悪いものではない。と、壮五は思う。 勇気の出ない自分でも、大切な人に寄り添うことが出来るのだ。それも、物理的に。 今日も雨が降っている。そして、寄り添いたい相手は朝に傘を置いて出かけて行ったことを、壮五はよく承知し…
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悩ましきは恋心(45)
心を偽る、それは壮五にとって残念ながら慣れたことだ。 心を、気持ちを、多くを偽って、押さえ込んで生きてきた。 そのはずだ。 けれど、初めてそれをはっきりと苦しく感じた。仲間への偽り、友への感情を飲み込み、そして──環への気持ちに蓋をする。…
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変わらないを君に(45)
「なんだか、ばたついているなぁ……」 部屋の外に少しの間、出ないで欲しいと頼まれてからというもの、どうにも外が騒々しい。 どうやらリビングの方で何かをしているらしかったが、今日はなんの日だったかなどとぼんやり思案していた。 今日の壮五の予定…
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前後不覚の口付けに(45)
「たぁくん〜」 環の部屋にノックひとつなく押し入ってきたのは、顔を真っ赤に染めてゆるい笑顔をうかべる壮五だった。 壮五の足元はおぼつかず、ゆらゆら揺れながらも一歩ずつ環の方へと近づいてくる。「わ、びっくりした……あんたまた飲みすぎたのかよ」…
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運命と呼ぶにふさわしい(45)
「幸せになってください」 そんな言葉を向けられたのはまだ冬の寒い頃だった。 ──別に。言われなくても幸せになるし。 あの日、去っていく背中に負け惜しみにも似た言葉を向けたことは、環の記憶にまだ鮮明に残っている。 そもそも、その言葉は環からす…
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背伸びしない僕たち(45)
これあげる、という言葉とともに環が壮五に差し出したのは何の変哲もない鍵だった。 壮五は環の真意をはかりかねて小さく首を傾げると「これは?」と問いかける。「部屋の鍵」 淡々と告げられる答えに、壮五がハッとした。 環も壮五も少し前に寮を出て、…
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祝いの初めは君と(45)
寮に仲間たちが集まっているときの空気が環は好きだ。 それもあって普段、なんとなく理由もないままに共同スペースであるリビングにゲームをしながら居座ってしまったりする。 今日も今日とてそれだ。 だが、今日はいつもと比べて周りの雰囲気はどこか慌…
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