しょうがねぇ/しょうがない(45)

「しょうがねぇ」

「寂しい」
 そーちゃんが言った。小さい声でもよく分かる。
 きっと言ったことにも気づいてない。それくらい無意識の言葉なんだろう。
 これまではこんなこともなくて、そーちゃんが寂しがってるのに少し嬉しいと思ったりもする。
 いや、違くて。
 こういうの見せてくれるようになったのが嬉しくて。
「そーちゃん」
 だから、たまらなく好きと思って。
「やっぱ、あんたはしょうがねぇな」
 つい笑うんだ。

「しょうがない」

 正直に気持ちを吐露するというのは、どうにも苦手だ。泣くのも最近までろくに出来なかった。
 僕は溜め込んで、我慢して、笑ってしまうたちらしい。そう気づいたのはつい最近だ。
 それでもたまに思う。
「寂しい」
 と。
「そーちゃん」
「どうしたんだい? 環くん」
 どうしてだろう、環くんが呆れたような顔をしてる。これは、しょうがないと笑う前の顔だろうか。
「やっぱ、あんたはしょうがねぇな」
 予想した通りに環くんは笑った。