ひとりじゃない、かわりじゃない(コーキス)

「マスターは俺が命にかえても絶対元通りにするよ」
 相変わらず殺風景でいて、神秘すら感じさせる心象風景の中でイクスを前にしたコーキスは、きりりと緊張した面持ちで告げた。
 コーキスの言葉にイクスは困ったように眉を下げながら笑ってみせるが、直ぐにがらりとその表情を悲しみほ湛えられたものへと変える。
「……命にかえてもとか、言うなよ」
「マスター……」
「コーキス。俺がまた意識だけじゃなく自由にいられる日が来て、その時にお前がいないなんて悲しいこと考えたくないよ。一緒にいたいんだ」
 今にも泣きだしそうに目を潤ませたイクスに、コーキスは一歩近づくと彼の頬をそっと撫でてから力いっぱい抱きついた。
「ごめん、マスター。俺も、一緒にいたいよ」
 しがみつくようにして肩口でぼそりと呟くコーキスの背に、イクスの手がそっと回される。
「いなくなって欲しくないんだ、誰も誰かのかわりになんてならないんだから」
 イクスの言葉に今度はコーキスの目が潤んで、それを見せまいと肩口にぐりぐりと顔をすり当てた。
(ありがとう、マスター)