——絶対にマスターを取り戻す、ミリーナ様たちも守り抜いてみせる。そう思っている……いるけど……
コーキスは一人空を見上げている。その瞳には夜空が映っているはずだが、彼はそれをぼんやりと見つめるばかりで感慨もなにも抱いているとは思えない、まさに無表情だった。
一人になると、自身の突然の変化への戸惑いも、マスターであるイクスが急に手の届かない場所へ行ってしまった困惑も、何も分かっていない自分への苛立ちも、たくさんのことが一度に押し寄せてくる。
それでも確かに感じるイクスの気配に、安堵することもあれば不安を掻き立てられることもあり、今までは感じることのなかったさまざな感情が一度に混ぜ合わされたような錯覚に囚われるほどだ。
「マスター、俺……」
誰の気配もない中に、思わずコーキスは弱音を口にしそうになって慌てて手で口を覆う。弱音を履いている場合ではない。
「俺、がんばるから」
口を覆った手をとると、大きく息を吸ってから改めて言葉を口にする。
次に話ができるときにはきっと、よく頑張ったなって言ってもらえるようにと心に誓いながら。
