暗躍せし雷鳴(tnzn)

「あっ……」
 小さな声が漏れる。炭治郎は目の前の光景がどうしても現実とは思えないまま、しかし目を背けることもなく真っ直ぐに前を見つめていた。
 炭治郎の視線の先に在るのは、善逸の姿と彼と相対するこの世のものとは思えない謎の化け物の姿だ。善逸の手には刀が握られ、それは鞘に納められたまま先程まで炭治郎に向けられていた化け物が放つ鋭利な爪の攻撃を止め殺していた。
「ぜん……いつ……?」
「出来れば、炭治郎には知らないままでいて欲しかったんだけどな」
 視線を化け物からそらすことなく、吐き捨てるように発せられたその言葉を合図にして、善逸は重心を低く刀を構える。
「雷の呼吸、壱の型――」
独特の音とともに空気が震えて、炭治郎の背筋が粟立った。