――今なら少し、自分のことを赦せる気がした。
完璧をただ求めて生きる日々は、まるで人形のようで。必死に与えられたことをこなすために日々を生きる。自分のためじゃない、あの人たちのために生きていた。日々は牢獄、日々は虚無、けれど求められる姿に僕はならなくてはいけない。
それは本当に無。何もない、楽しくもなければ悲しくもない、幸せも不幸せも知らない。そんな僕は必死だった。
けれどあの日には求められた完璧はこの手からこぼれて、決定的な失敗をしたのだと詰られた。二人のための人生は二人によって幕を引かれ、僕はあのとき何者でもない亡霊のような存在だっただろう。
いくら手を伸ばしても、どこにも届かない。僕の手は罪に、絶望に、失望に、恐怖に、染まって存在を主張する。
それを彼女に救われて、僕を僕として認めてくれる人がいるのだと知った。
あの時には絶望たちから、もう一度だけチャンスをあげようと囁かれる。連れていかれた先は絶望。表向きは希望に溢れた絶望の権化だ。あの場における記憶は苦しくて、苦しくて、苦しくて苦しくてただ苦しくて。もう、全部手放してやろうかとさえ思った。
そのとき脳裏によぎったのは彼女の言葉。僕を僕として認めてくれたこと。彼女がそう言ってくれるなら、諦める前に一度足掻いてやろう。どちらにせよ絶望と地獄なら、自分で足掻いて掴んだ未来に僕は行きたい。
自分が違うと言えなかったから、おかしいと思えなかったから、間違いだらけで苦しくて――でも愛おしくも美しい世界に僕はいる。今が望んだ未来なわけではないけれど、こんな今は悪くないと思うから。
