しとしとと降り続ける雨が窓をうちつける。おそらく梅雨は明けたか明けるか、そのくらいなのだろうと思わせる天気が続いていただけに、番狂わせが起きたかのようにも感じられた。
その空模様を教室の窓から残念そうに見上げているのは善逸だ。
「どうしたんだ? 空を見上げて」
窓際の席の善逸のところへやって来て声を掛けたのは炭治郎だった。
「ん〜?」
ぼんやり気のない返事と共に善逸は、視線を空から炭治郎の方へと向ける。
「今日って七夕じゃん? 織姫と彦星は、ただでさえ会えないのにこの天気で今年は全く会えないんだなぁって思って」
思いの外、らしくない返答に炭治郎は口を噤んだ。否、返す言葉を選べずにいた。
「七夕は割と雨降ってる日が多い気がしたからさ〜、そんなこと考えてたんだよね」
炭治郎から言葉が返ってこないのを見て、善逸はいつも少し困ったように下がっている眉をさらに下げて笑う。
「……確かに、会いたい人と会えないのは悲しいな」
やっとその口から言葉を紡いだ炭治郎の表情は、少し悲しげでそれでいて瞳には明らかに善逸しか分からない熱を帯びていた。
善逸はその様子にハッとして、思わず視線を逸らす。
「……言葉とその目が矛盾してんだけど」
「俺は嘘はついていないぞ」
「分かってるわ!……ばか」
そこはかとなくアンニュイな気配すら帯びていた善逸が、一瞬にして照れ臭そうに表情を変えた。
もうその瞳は空を見ない。目の前の太陽に視線はそらせても気持ちはそらせなくなってしまった。
