神となろうとも(tnzn)

 ――これは契約だ。

 頭の中に声が響く。目の前に確かに存在するそれは、人の形をしているだけで人ではない者なのだと思い知らされる。

 ――すぐにここから立ち去り、二度とここに足を踏み入れないこと。

 相変わらず頭の中で響き渡るその凛とした声が、耐え難いほどの言葉を告げてくる。その言葉を聞き入れるわけにはいかない。
 しかしこれは契約だという。何に対するものなのか、その疑問が晴れることだけを願いながら口を閉ざし続けた。
 
 ――それを守ると誓うならば、お前を護り続けることを約束し、望むものを一つだけ渡そう。
 
 なんとも不可思議な契約だ。寧ろこれは契約として成立し得るものなのかと、そんな疑問すら浮かんでくる。
 だがこの神々しい存在が何者にせよ、以下ばかりか対等さに欠けるように感じられるこの契約に、まずは異を唱えるところから始めることにした。
 
「それは対等な条件ではないと思う。考え直してはもらえないだろうか」
 
 それまで荘厳さすら感じさせた目の前の存在が、まるで同年代の友人のように吹き出した。驚くべきその姿に何故か既視感を覚えて、凝視せずにはいられない。
 
 ――お前らしいな。